昨年に続き、港区三田の「魚籃坂」周辺で、11月29日(「南台寺」)、30日(高輪区民センターホール)の2日間わたって、「第2回ぎょらん坂邦楽雅楽祭」が開催される。主催:ぎょらん坂邦楽雅楽祭実行委員会(代表:黒田裕)、後援:台北駐日経済文化代表処、協賛:チャイナエアーライン・田島町町会。
同音楽祭の特徴は、邦楽の和楽器と国楽の漢楽器の音色を聴きながら、江戸時代にその礎を作った多くの先人たちに思いを馳せる点にある。今回は、日本の尺八と中国古来の洞簫、琴と中国古来の唐筝(古筝)を聴き比べ、背景に横たわる伝統と文化の差異や醍醐味を味わう、というもの。演奏家は、台湾人二人(洞簫・古筝)、アメリカ人一人(尺八)、日本人一人(琴=筝)。コンサートに先だち、28日、都内(白金)で招聘演奏家を囲むレセプションが開催された。
午後6時30分、演奏家と記者との懇談の席が用意され、演奏家たちの今回のコンサートへの思いを聞いた。
洞簫を演奏する廖錦棟氏は、現在は(台湾の)山にこもりながら創作活動を行なっている。これまで韓国、中国、ドイツなどで公演活動を行なってきた。「洞簫と出会って43年、そのなかで、音の高さや低さだけでなく濃淡というものを発見しました。これは漢文化(水墨画)に関係しているものだと思います。穏やかな音色を楽しんでもらえれば嬉しい」
クリストファー遥盟氏は、アメリカ人。1972年に来日し、尺八と出会い、山口五郎氏(人間国宝)に師事。現在は世界各国で演奏活動を行っている。「尺八の音を聞いた時、抑えがたい喜びが(内側から)湧いてきて、以後、40年間、その喜びを(人々に)与えたいと思って追求してきました。今、尺八は世界の楽器となりました」
馬場千年さんは日本人の筝演奏家。山田流今井派。国内外で演奏活動を行っている。「今回は聴き比べがメインということで、選曲に気を遣いました。(中国の)古筝にない日本古来の演奏の仕方、奏法を多く使っているものを選びました。筝と古筝の両方の良さが伝わればいいと思います」
謝袋霖さんは、古筝演奏家。台北市立国楽団団員、小巨人絲竹楽団団員。国内外の各賞を受賞している。「中国の古筝の美しさを表現したいと思います。日本の琴との違いを楽しんで欲しい」
続いて、午後7時から歓迎レセプションとなった。乾杯の音頭をとった来賓の渡辺専太郎港区議会議員は「日本と中国が来年は、より一層いい関係になりますように」と挨拶した。その後、演奏家と参加者同士の歓談となり、午後8時30分、終了した。