台湾東部花蓮の太魯閣(タロコ)渓谷では、毎年11月、マラソン大会が開催。大峡谷を舞台に行われるマラソン大会は世界でも珍しく、国内外から多くのランナーが参加する国際大会だ。太魯閣国家公園内にある太魯閣渓谷、その岸壁はかつて珊瑚礁の海底が隆起してできたもので、石質は大理石だ。
2000年に始まった大会。フルマラソンに加え、ハーフマラソンや5kmのコースを合わせると毎年約1万人がエントリー。参加者は前日に花蓮やその近郊に宿泊するのが主流で、当日は朝4時、新城駅に集合し、ピストン輸送のバスでスタート地点へと向かう。バスは、夜明け前、眠い目をこすりながらスタート地点に向かうランナー達で鮨詰めになる。
フルマラソンのスタートはタロコゲート。8号道路を亜洲水泥の鳳凰木林で引き返し、中部横断道路を無数のイワツバメが巣を作る燕子口、クネクネとトンネルが続く九曲洞を通過。天峯塔がそびえ立つ天祥で折り返し、ゴールはタロコビジターセンターに設置されている。前半は緩やかな上りが続き、後半は下り坂。平坦なコースに慣れているランナーにとっては若干厳しい起伏だ。渓谷の細道を入っていくように進むため、途中は沿道での応援が少ないことも他のマラソン大会と異なる点。ランナー達は、自然が作り出した景観を見ながら渓谷を駆け抜けていく。
レースは海外招待選手が先頭集団を形成し、2時間台前半で次々とゴール。台湾東部の山間は天気が変わりやすく、時折、雨にも打たれながら一般参加の選手達は42.195kmの道程を走りきる。ある参加ランナーは「勾配が厳しかったが、コースはシンプルで走りやすかった。景色が美しく、走りながらも太魯閣の自然に圧倒された。機会があれば、もう一度参加したい」と感想を述べた。
参加者にはメダル、記念品、弁当等が贈呈。タロコ国際マラソンは、年末に開催される台北国際マラソン等と並び大規模な大会で、一部の旅行代理店を通しても参加申し込みが可能だ。