日本国際客家文化協会は、12月16日、国際アジア文化学会と共催で都内で研究例会・懇親会(午後3時30分~午後7時)を開催した。各界の来賓、会員合わせて総勢40名の参加があった。司会は嵐義人(国学院大学教授)氏が務めた。
日本国際客家文化協会鍾清漢名誉会長は、開会の辞で「ご多忙のなか、参加いただきありがとうございます。今日は、研究会、懇親会と続きます。よろしくお願いします」と挨拶、続いて研究会の挨拶に立った藤井昇三国際アジア文化学会会長は「鍾清漢先生とは学会の創立時からのお付き合いです。鍾先生の学問への情熱と学会運営の熱意に感銘を受けまして意気に感じて入会させていただきました」と研究会の意義を語った。
研究会は、2人の講師が約30分ずつ研究発表を行った。1人は、「台湾における高齢者の『生きがい』政策の展開過程に関する考察」というテーマで発表した荘家怡さん(佐賀大学大学院博士後期課程所属)だった。荘さんは、台湾の高齢者の「生きがい」として今後、ボランティア活動への参加を促す施策が必要と結んだ。他の1人は、「日本における信用組合の成立について」というテーマで発表した古垣光一千葉県立保健医療大学教授。古垣氏は西村茂樹(日本の啓蒙思想家、文部官僚、日本弘道会創始者)の研究者で10年にわたり西村茂樹全集の編纂に従事している。本テーマで西村茂樹の研究成果の一端を披露した。
続いて、日本国際客家文化協会岡村央棟会長が、台湾で開催された「海外客家社団負責人諮詢会議2012」の参加報告を行った。岡村央棟会長によれば、同会議は台湾政府が主催したもので11月8日から11日にかけて台北で開催された。世界28カ国から200名の客家代表が集った。会議では各国の客家の活動が報告されたが、日本国際客家文化協会は、「単なる懇親会ではなく研究会として実績を積み上げてきた」と話し、各国客家代表の注目を集めた。岡村央棟会長は「来年も台湾政府は全世界の客家を招いて大懇親大会を開催する予定です。全員参加で50名は一緒に行きましょう」と参加者に呼びかけた。
懇親会は午後5時開始。その前に集合写真の撮影が行われた。懇親会での来賓挨拶では、台北駐日経済文化代表処陳調和副代表が「台湾中央省庁の中に客家委員会があります。政府の予算は減る一方のなかで客家委員会の予算は増えています。これは客家文化推進を重視している表れです」と日本国際客家文化協会の活動にエールを送った。また、西田まこと参議院議員は、「聞けば客家の特徴は、努力、勤勉、正直、節約だそうですが、今の日本人は客家の皆さんに教えを請わなくてはなりません」と語るとともに、アジアの平和と安定のためには客家の多元的な価値観を体言していくことが大事ではないか、と語った。
乾杯の発声は鍾清漢名誉会長が行った。その後、来賓紹介、余興(歌 医療法人健身会理事長周東寛氏、歌 東京中華学校音楽講師張瑞銘氏、サムライ講座 社団法人中国研究所所員徳植勉氏)、抽選会と続き、午後7時過ぎに閉会となった。閉会の辞は磯辺武雄氏(国士舘大学副学長)が「今年の年末研究例会は非常に印象深いものだったと思います。残すところわずかとなりましたが、皆様、良いお年を迎えられますよう願っております」と締めくくった。