日台芸文交流展で黒木国昭氏の作品展示

0

国立歴史博物館は2月7日より3月10日まで「黒木国昭50周年グラスアートー日台芸文交流展」を行なっている。黒木国昭氏は厚生労働省が表彰する「現代の名工(卓越した技能者)」に選定されたガラスアーティストであり、精巧で繊細な作品は国内外を問わず評価が高い。今年は黒木氏にとって創作開始50周年、工房創立25周年の節目の年であり、この交流展では厳選された作品149点が展示され、なかには台湾の風景をイメージした作品も公開されている。

 

黒木国昭氏
黒木国昭氏
セレモニーでは茶道裏千家教授の佐々木宗慶氏によって抹茶が振る舞われた。
セレモニーでは茶道裏千家教授の佐々木宗慶氏によって抹茶が振る舞われた。

 

公開初日となった7日はオープニングセレモニーが行なわれ、茶道や日本舞踊が披露された。茶道のパフォーマンスで使用された茶器にも黒木氏のガラス容器が使われ、来賓に振る舞われた。黒木氏と台湾との関わりは長く、スピーチでは台湾を「私の第二のふるさと」と称し、「食べるものも美味しい、台湾の人々の心が温かい、見る所、街、村、湖、山、全てが私の心を動かしてくれる」と、台湾の魅力を語った。さらに日台関係については「憂うこともあれば悲しいこともある、そしてまた楽しいこと、怒りたいこともある。でもそれを自分で考えながら、台湾との交流を強く深めたいと思っている」と、想いを述べた。

 

東海道五十三次を再現したオブジェ「保土ヶ谷」(新町橋)。
東海道五十三次を再現したオブジェ「保土ヶ谷」(新町橋)
冷茶ポットセット
冷茶ポットセット

 

黒木氏は早くから、日本の歴史、文化、風土、伝統美をガラスという素材で表現することを制作の基本としており、今回展示された「琳派・光派」、「日本の歴史ロマン」、「浮き彫り」、「綾切子」などのシリーズでも、日本らしさを感じ取ることができる。また「綾切子」は活動拠点である宮崎県綾町の照葉樹林をテーマに環境問題への苦言を呈するオリジナル作品で、特殊な技術を多用し「現代の切子」としても高評価を受けているシリーズである。

 

ランプ「樹林」〜夕景と水鳥〜
ランプ「樹林」〜夕景と水鳥〜
日本の自然「桜と鳥」
日本の自然「桜と鳥」

 

台湾での交流展開催の意義について黒木氏は、台湾でも独自のガラス文化が有る事を指摘した上で「その国にはその国の文化や風土や伝統がある、(普段は)異国ではそれを見れないことが多い。それを共通のガラスという素材を使って表現するとこうも違ったものにもなっていくのかと解ると思う」と話し、日本と台湾のガラスの歴史や文化を比較して楽しむことで新たな発見があることを期待した。母親と一緒に観賞していた男性は「とても美しい。元々神秘的で雅やかな日本の芸術が好きだ。グラスアートは初めて見たが、とても新鮮だ」とガラスの表現方法の豊かさに驚いてた。また、親子3人で来場した女性は「とても精巧に作られていて、想像を越えた芸術だと思う」、「制作過程はきっと複雑なんでしょうね」と作品に見入っていた。

建国100年記念中華民国総督府と台湾の自然「慈悲・慈杯」
建国100年記念中華民国総督府と台湾の自然「慈悲・慈杯」
台湾の風景「玉山」
台湾の風景「玉山」