最大野党民進党の蔡英文前主席※はこのほど、新年の計画として新たな農業発展モデルの発掘と、これまで国民党が統治してきた農漁会所属の農漁民とのパイプをより強化推進する事を表明した。
蔡前主席は、先の春節期間で新北市内の寺院めぐりを行い、2月16日には新北市板橋区の接雲寺で民衆から「蔡総統」と情熱的な声を掛けられ、拍手喝さいを浴びた。その際蔡前主席は「民進党内の人々と手を組んで馬英九総統と蘇貞昌(民進党現主席)から服役中の陳水扁前総統を救いたい」と発言した。また「現在、台湾は年金問題や反核などさまざまな問題を抱えているが、これらの問題は根が深く解決までに時間を要する。さらに国民の生活にも影響が大きい。与野党の対話のほか全国民との対話もしかるべきで、そうすれば国が一丸となって共通の改革意識を持つ事ができさらに官民一体の改革ができる。政府は国民に感謝すべきだ」との考えを示した。
蔡前主席は民進党の主席の座を降りてから、自らが主催する「小英教育基金」を設立。昨年は台湾の新経済モデルの「ワークショップ」を開設した。開設時には前副総統の蕭萬長氏(国民党)やTSMC台積電の董事長・張忠謀氏が講演した。その後、台湾北部及び中部地区で「産業セミナー」を開催。今年はさらに南部でも開催を予定している。これまでの蔡前主席の取り組みは、台湾新経済モデルの推進に力を入れている表れでもある。今その一環として、第一回の新農業キャンペーンを3月に行う予定だ。雲林県政府からの依頼で、特別国際養豚チームを台湾に招き、技術交流活動を主催することを決めた。内容には、動物の排出物を利用してのメタン発電、全くの汚染なしでの飼育・屠畜・梱包・運搬方法などの確立を目指すとしている。年は新たな目標に「台湾農業の発展に注力するための方法にも尽力したい」とも語っている。
蔡前主席はさらに「特に農業と漁業方面の農漁会は、今まで全て国民党の統治の下で選挙活動に動員されたりしてきたが、これからの農民、漁民はこうした影響なく、本業である農業、漁業の発展を生み出す方向へと導きたい」とその目標を示した。「農民・漁民と政府との新しい架け橋を創っていきたい」とその決意も述べた。
※ 蔡英文・・・民進党初の女性主席。2010年5月に第13代主席に再選。2012年1月の総統選で馬英九総統とは僅差で敗退。その後党主席を辞任した。1956年屏東県出身で客家の旧家生まれ。台湾大学卒業後はアメリカとイギリスに留学。帰国後国立政治大学と東呉大学の教授を歴任。