台湾でビジネスを展開、もしくは進出に意欲を持つ日本の中堅・中小企業経営者と日台でビジネスを展開する華僑、新華僑の企業経営者がタッグを組み、台湾、アジアへの進出を加速させようという団体が、2月半ば、都内で発起人会を開催し、事務局の設置を決定、活動を開始した。
発端は2年前に遡る。中華民国建国100年双十国慶節が国内外で盛大に開催されるなか、華僑団体の一部有志の呼びかけで、台北駐日経済文化代表処のサポートのもとで今回の前身となる日本の経営者と華僑経営者との交流会が持たれた。その背景にはひとつの危機感があった。
「父親たちの世代は華商、つまり商売のために日本に来て、戦後の復興需要のなかで、横浜には中華街を作り、東京でもビジネスは大きく飛躍しました。しかし、その後2世、3世と同化していくなかで、中華学校はありますし、文化交流、懇親会は盛んですが、ビジネス面ではこのままいったら新華僑だけになってしまうのではないかという思いが募ってきました」(日本華商総会副理事長朱恭亮氏)
そこで、一過性のセレモニーに終らせるのではなく、次につながる試みをと、日台の企業経営者の交流会を代表処に提案、快諾を得た。
こうしたなか、かつて日本社会にあった民族差別は緩和し、インターナショナルな関係が定着したこと、台湾の経済政策が中国やアジアへの投資に積極的になっていること、東日本大震災や尖閣問題で台湾が注目され、様々な面で日台の緊密さが増していることなど、環境が整ったとして、交流会を一歩前進させるべく、今回の発起人会となった。
「日本の企業経営者と華僑の企業経営者が力を合わせる。台湾でのビジネスに興味がある日本の経営者に参加していただいて、日本華商総会や台湾商工会議所などと一緒に交流していきましょうと。合流することでビジネスが発生するチャンスが増える」(朱恭亮氏)
例えば、大田区の中小・零細企業のなかには技術力を有する企業が少なくないが、台湾でビジネスをしたいと思っても、チャンスがない、やれ宣伝だ、やれ通訳だとお金がかかる。だったら華僑がいるじゃないかと。
今回、日台経済文化交流会の会長に就任した加藤光淑氏(株式会社アシスト)は、すでに台湾に会社を持ち、長い間事業を行ってきたが、最初の交流会に参加したことがきっかけで台湾・経済部とつながり、結果、台湾に3000坪の土地を借りることができた。
「日本人は代表処や経済部に直接うかがって陳情することはできません。ですからその窓口となるのが『日台経済文化交流会』だろうと思います」(加藤光淑会長)
発起人会時点で、日台の企業、10社が集った。今後、2カ月に1回、会合を持ち、情報交換や会員獲得を探ることになる。ビジネスが成功した暁には、中華学校や国慶節など、台湾の文化交流を支援しながら次世代のビジネスマンを育成していくことになる。