台湾貿易センター(TITRA)は2月8日、『2013年台湾貿易センターITI日本語組福岡研修「研修成果報告会」』(研修報告会)を開催した。
ITI王満澧副主任が開会挨拶し、台北駐福岡経済文化辦事處の曾念祖處長の祝辞の後、研修報告会が開催された。ITI研修生22名は一人あたり約5分間で3週間の企業研修で学んだ成果を日本語でプレゼンした。プレゼンはそれぞれが流暢な日本語で話され、国際ビジネスの即戦力として磨かれた視点や個性的な創意工夫が要所に垣間見られた。
TITRAの一部である国際企業人材育成センター(以下「ITI」)は、台湾ビジネス界の次世代を担う幹部候補生の育成を目指している。国際企業経営コース日本語組の学生(以下「ITI研修生」)は、ITIで学んだ2年間のプログラムの集大成として日本企業で約3週間の企業研修を受ける。この研修は日本語能力の向上や日本のビジネス習慣、社会習慣、日本文化を学ぶことを目的としている。福岡県はTITRAと連携し平成16年(2004年)より福岡企業研修を実施しており、10年目の節目となる今年は福岡の有力企業18社がITI研修生の半数(福岡組)の受け入れを行った。また、ITI研修生の半数(横浜組)は、TITRA東京事務所と横浜市のIDECという組織が合同で受入れている。
九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」)で企業研修を行った謝孟庭さんは、九州新幹線開通時のテレビCMに感動したことがきっかけでJR九州を志望。企業研修では『今まで単なる移動手段と思っていた列車が、おもてなしの心やサービスによって、列車に乗ること自体を良い思い出(観光資源)にすることができる』ということが新たな発見だとした。また、最も感動したことは「お客様が笑顔でおはようを返してくれた」こと。
このほかITI研修生は福岡の企業の「いつも笑顔」「社員の幸せが重要」「時間を守る」「感謝の気持ちを大切にする」ことなど、日本でビジネスを成功させるうえで最も基本的な理念を修得し、「朝礼がある」「ラジオ体操に驚いた」「昼寝がない」など台湾と日本の習慣の違いやカルチャーショックをそれぞれの視点から発表していた。プレゼンの最後には、必ず福岡の企業へ「ありがとう」という感謝の気持ちを表し、3週間の経験を「バリ楽しかった」と博多弁で表現するITI研修生もいるなど福岡の企業を喜ばせる場面もあった。
プレゼンの後はフェアウェルパーティ(お別れパーティ)が催された。ITIの王満澧副主任は「受入先の福岡の企業に心から感謝し、今年10年目を迎えるこの福岡企業研修が更に続くように協力関係を続けていきたい。いい経験ができたITI研修生達を祝福したい」と挨拶。ITI研修生代表の謝孟庭さんは「教科書からは習得することができない貴重な体験をさせていただきました。温かな人々に囲まれて企業研修ができたことに感謝したい」と述べ、研修生一同深々と一礼した。福岡県商工部国際経済観光課の竹下暁係長からの乾杯の挨拶の後、ITI研修生達の緊張も解れたのか和気藹々とした雰囲気の中、それぞれ記念撮影をする場面なども見受けられた。
TITRA福岡の林淑惠所長は閉会の挨拶で「わたしもITIの1期生でしたが、ここにいるITI研修生のように企業研修を受けることはなかった、その意味で今のITI研修生たちはとても恵まれている。これも協力して頂いた福岡県、福岡の企業のおかげです、どうぞこれからもご支援賜りますよう宜しくお願いします」と感謝の言葉を述べ、ITI研修生達へは「台湾と日本の架け橋になって下さい」とエールを送った。
福岡県商工部国際経済観光課の竹下暁係長は「ITI研修生は極めて優秀で、受入側の福岡の企業各社からもいい刺激になると好評を頂いている。ITI卒業生も福岡の企業に就職し活躍している方も多い」と研修生達によって更に福岡と台湾の友好が深まることに期待していた。
福岡県では、ITI卒業生と福岡の受入企業、台湾進出中の福岡の企業による「福岡・台湾経済人クラブ」が2007年に設立されており、今年1月下旬には福岡県の小川洋県知事が自ら訪台し、馬英九総統をはじめ、台湾の関係者との意見交換や福岡の魅力を紹介する「経済文化交流ミッション団」を派遣するなど、近年台湾との経済文化交流を加速させている。