外交部は22日、尖閣諸島(中国語名:釣魚臺列嶼)は中華民国固有の領土である事を国内に向けて啓蒙するショートムービーの第一弾を公開した。これは昨年の石原慎太郎前東京都知事の尖閣諸島購入問題を受けて馬英九総統が提唱した「東海和平イニシアチブ」に基づく宣伝政策の一環。出演者にバラエティータレントを起用し、主要言語を台湾語(ホーロー語)とすることで、親近感を抱かせ、尖閣諸島に対する関心と、領有権が中華民国にあることの認識を高めたい考えだ。
5分程度の啓蒙ムービーにはバラエティータレントであるホンジュラスこと洪勝徳氏が、自身がレギュラー出演を努める人気討論番組「全民最大党」のスタイルを模倣し、尖閣諸島領有権問題における中華民国の主張を台湾語で論じると言うもの。ホンジュラス氏はムービーの最後に「主権争議を棚上げし、共同で資源開発。それこそが台湾を愛することだ」と主張し、「東海和平イニシアチブ」を支持することが愛国心に繋がると結論づけた。
従来の啓蒙ムービーとは違い、ユーモアをふんだんに盛り込んだ内容であり、また政府機関のムービーとしても異例の台湾語を多用したものになっている。外交部は「初めてエデュテイメント(edutainment/娯楽と教育の融合)方式で国際問題における理念と立場を宣伝した」としている。実際に記者会見場でムービーが放映されると、集まった記者からは時折笑い声がおこった。記者会見もホンジュラス氏を招いて討論番組の様な形式で行なわれた。ホンジュラス氏は、江南スタイルの乗馬ダンス(騎馬舞)を真似た「尖閣諸島保衛ダンス(保釣舞)」を披露しながら登場し、史亜平常務次長も踊りに加わる場面もあった。
この啓蒙ムービーは三部構成になっており、今回公開されたものは第一部の「総論篇」。今後「第二次世界大戦後の発展篇」、「東海和平イニシアチブ篇」がそれぞれ発表される予定である。「総論篇」では尖閣諸島が歴史的、地理的、国際法的に台湾に属していることを主張している。林永楽外交部長は「東シナ海を平和と協力、安定の海にしたい」と東海和平イニシアチブの理論を強調した。また、今回の啓蒙ムービーは台湾国内向けに制作されたものであるが、海外に向けた宣伝に関して史亜平常務次長は「昨年から米主要メディアに広告を掲載しているほか、中華民国の在外公館に資料を配布し、シンポジウムなども実施している」と話し、海外を対象としたマイクロシネマの計画が進行中であるとも明かした。
外交部は今後も様々な形で「東海和平イニシアチブ」の認識を高め、東シナ海の平和的利用を目指していきたいとしている。