APPU は1965年(昭和40年)に岸信介首相ら有志の提唱を受け、趣旨に賛同したアジア諸国により創設された「アジア国会議員連合」を前身としている。背景に当時のアジア地域の冷戦構造があった。議員外交の場を設けることによって自由と民主主義に基づくアジアの平和と安定を目的としていた。その後、加盟国が増えて太平洋島嶼国も加盟。1980年に「アジア・太平洋国会議員連合」(APPU:Asian-Pacific Parliamentarians’Union)に名称を変更した。
理事会と年次総会からなり、今年は3月25日~同27日の会期で行われた。このAPPU年次総会および理事会に参加すべく、台湾の代表団一行が24日、来日した。超党派13人からなる一行の団長は王金平・立法院長(国会議長)、副団長は、林郁方・立法委員(国会議員)、李鴻鈞・立法委員、陳唐山・立法委員だった。理事会が開催された25日夜、台湾代表団一行は、APPU日本議員団(会長:麻生太郎、副団長:野田佳彦・前首相)が憲政記念館で開催した歓迎レセプションに出席した。
レセプション開始直前、会場入りした王立法院長は、まず野田佳彦・前首相と10分ほどに及ぶ挨拶を交わした。この中で、王立法院長は、野田政権の時代に、「海外美術品公開促進法」が成立したことにより、来年夏に国立故宮博物院収蔵品の日本展開催が実現すること、この4月に宝塚歌劇団の台湾初公演が実現すること、昨年11月に日台漁業交渉予備会議が実現したこと、昨年8月、馬英久総統が提唱した東シナ海平和イニシアチブに賛意を表明したことに触れ、「閣下が首相を務めていらしたときに台日関係はこれまでで一番いい関係に導いてくださったことに感謝申し上げます」と述べた。
レセプション冒頭の挨拶は、野田副団長だった。野田氏は11カ国の参加国代表団に敬意を表しつつ、「午後の理事会で相当実務的な議論が交わされたと聞いていますが、ここではリラックスしていただきたいと思います」と述べた。また、「東日本大震災時、世界の160カ国以上の国から温かいご支援をいただいたこと、APPU加盟国の皆さんにも大変な支援をいただいたことに心から感謝申し上げたいと思います……台湾の代表団の皆様に改めて御礼申しあげますが、多額の義援金を、ご寄附を頂戴したこと、改めて感謝申し上げます」と頭を下げた。
続いて、挨拶に立った王立法院長は、「APPUの年次総会は、共同でアジア太平洋地域に関する問題を話し合うとともに、世界の共通の問題についても対応していく大切な機会だ」と語った。
王立法院長のスピーチの途中で、日本議員団会長の麻生太郎・副総理が会場に現れ、事前報道で対面が成立するか未知数だったこともあり、会場がざわめく一幕もあった。
三番目に英語でスピーチした麻生氏は、「皆さんの同会議への参加を歓迎します。APPUは台湾や主要加盟国の協力によって極めて国際的に重要な会議となりました」と語った。
この後、お酒を交えた懇親会となり、会場では、王立法院長と麻生氏に台北駐日経済文化代表処の沈斯淳代表も加わる形で、日本の国会議員などとあちこちで旧交を温める歓談が続いた。