お洒落なショップやレストラン、バーが立ち並ぶ台北市安和路に店を構える「幸福料理小鹿」は、台湾人シェフが創り出す基本に忠実ながらも斬新な創作日本料理を堪能することができる創作日本料理レストラン。日本でもなかなか口にする事ができない繊細な風味が台北で味わえるとして、グルメな台湾人の間で密かに注目を集めている。
「台湾近海の新鮮な海の幸を、そして古い物にとらわれない目新しいものを食べてもらいたい」と語るのはオーナーの鄭阿祝さん。日本料理はさっぱりした味で、油分が少なく、長寿の源となる健康食として台湾でも人気が高い。また、日本で修行経験の有る台湾人シェフは日本料理の基礎を充分に心得た上で、食材本来の味を追求する能力に長けており、日本から空輸された食材のほかに、台湾の食材を取り入れながら、オリジナリティ溢れる創作日本料理を提供している。
2000元〜3000元のコース料理が提供されているが、店内にはメニューがおかれていない。シェフ自ら基隆の魚市場に出向いて、その日一番の新鮮で美味な食材を仕入れるため、毎日違った食材が出されることがその理由だ。何度訪れても、その度に異なった食材や調理法を味わうことができる。また、調理の様子はカウンター越しに見ることができ、華麗な包丁さばきを目前にできる。また、シェフはお客の好みや要望に応じて料理を提供するため、お客毎に違った料理が出されることもある。
この日出されたのはアカヤガラ(馬鞭魚)と呼ばれる魚は温暖な海域で穫れる白身魚の刺身。表面をバーナーで炙り、ヒマラヤ産のローズソルトをかけていただく。カリカリの表面は歯ごたえがあるが、中身は溶けるような食感が楽しい一品。日本では刺身をわさび醤油を付けることが多いが、塩だけで食べるのも、新鮮な魚本来の味を楽しめる。ウニとキャビアを二枚のホタテで挟んだ「ハンバーガー」は、滑らかな食感に、ウニやキャビアの独特な風味が口中に広がる絶品だ。
シンプルで落ちついた内装は、シェフも務める鄭さんの弟さんが手がけたもの。仕事仲間4人で食事に来ていた男性は「南部から会いに来てくれた人がいるから、特別な物を食べようと思ってきた。雰囲気が良く、料理もおいしいからよく来ますよ」と話した。大切な人との一時に最適な空間で、台湾人シェフが創り出す温故知新な創作日本料理を楽しんでみてはいかがだろうか。