フィリピン船が台湾漁船襲撃 外交部がフィリピン政府に抗議

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中華民国外交部の発表によると、5月9日午前11時ごろ、台湾船籍の漁船「広大興28号」が鵝鑾鼻(ガランピ)沖で操業中、フィリピン船から突然銃撃された。これにより乗組員一人が死亡。外交部は同日夜、フィリピン政府に対し厳重抗議し、謝罪と賠償を要求した。

 

事件が起きたのは鵝鑾鼻(ガランピ)の東南沖250キロ、北緯20度、東経123度の地点。台湾が主張する中間線である「暫定執法線」の内側で、台湾とフィリピン双方の排他的経済水域(EEZ)の重複海域。乗組員の証言によると、操業中、フィリピン船が広大興28号のおよそ40メートル地点まで接近し突然発砲。銃撃を受けた広大興28号は自力での航行が出来なくなり、台湾人乗組員一人が被弾し死亡した。銃撃は一時間に渡って続けれられたと言う。

 

行政院海岸巡防署からの通報を受けた外交部は、関係当局に対し事件の調査と対応を要請。同日夜7時、フィリピン側がフィリピンの公務船による銃撃を認めたため、王楽生駐フィリピン大使はフィリピン政府に対して厳重抗議を行ない、正式な謝罪と容疑者の逮捕、賠償を要求した。これに対し10日午前、フィリピン駐台大使が遺族に対して見舞いの言葉を述べたとともに、台湾とフィリピン双方の関係当局が協力して事件の調査を行なうことを提案。しかし、攻撃は正当防衛であり、正式謝罪の要求は受け入れられないとした。この対応を受けて台湾側から大きな不満の声が上がっており、問題は長期戦の様相を呈している。

 

台湾の漁業を巡っては、5月10日から「日台漁業取り決め」が正式発行し、宜蘭の漁船が尖閣諸島沖へ出港。マグロ漁を開始した。しかし操業のあり方を決める「日台漁業委員会」は5月7日に第一回会合が行われたものの、具体的な進展は見られていない。尖閣諸島周辺海域において、今回同様の事件が発生するとは考えにくいが、万が一トラブルが発生した場合にどう対処するべきか、検討する必要があるだろう。