亜東関係協会の廖了以会長が辞表を提出し、近日中にも受理される見通しだ。日台関係の発展に多くの功績を残した廖会長であるが、来年実施される台中市長選挙への出馬も噂されており、今後の動向に注目が集まっている。
廖会長は台中豊原出身。日本人の祖母と母親を持ち、元豊原市長である父親、廖忠雄氏も早稲田大学卒業と、日本とも縁が深い。本人も豊原市長、台中県長(知事)、内政部長、総督府秘書長などを歴任した後、昨年から台湾の対日窓口である亜東関係協会会長を務めていた。
亜東関係協会では、馬英九政権が掲げる「日台特別パートナーシップ」政策のもと、日台交流の活性化に尽力。「日台特許審査ハイウェイ計画覚書」や、「日台民間相互承認取決め」、「日台産業協力架け橋プロジェクト覚書」などに調印。先月には長期間にわたって未解決であった「日台漁業取り決め」が合意。台湾側の主張が大幅に認められることとなった結果に、台湾国内では廖会長の手腕を評価する声があがっていた。
しかし、関係者によれば実際には母親が高齢であることを理由に数ヶ月前から辞意をほのめかしていたと言い、長年の懸案事項が円満に解決したこの時期に「勇退」することになったと見られている。また、統一地方選挙を来年に控えていることから、廖会長の地元である台中市長選挙に出馬するのではないかとの憶測がささやかれている。これについて廖会長は「帰ったとしても、選挙には行かない」と噂を否定しているが、実際に出馬となれば、実力者として大きな影響を持つことは明らかで、今後の動向が注目される。
また後任について現地メディアは、現国安会諮問委員である李嘉進氏が内定したと伝えている。