公益財団法人渥美国際交流財団関口グローバル研究会など三つの団体が共催した「第三回日台アジア未来フォーラム」が5月31日、台湾大学で開催された。近代日本の政治思想からナショナリズムにアプローチするフォーラムは、日本でも実施されることが少なく、会場には貴重な研究成果の機会を聞こうとする多くの学生が集まった。
今回のフォーラムは「近代日本政治思想の展開と東アジアのナショナリズム」と題され、台湾、日本、韓国などから研究者を招き、発表や討論が行なわれた。台湾大学人文社会高等学院黄俊傑院長は開幕式の中で「21世紀になった今、東アジアの民族主義について研究を深めなければならない」、「(このフォーラムを通じて)未来のアジアの平和、世界の平和に貢献することが出来ればと願っている」と述べ、東アジアに大きな影響を与えた日本の重要さにも言及した。
このフォーラムの企画をした交通大学社会文化研究所の藍弘岳副教授は、近代日本の政治思想を扱うフォーラムを実施することについて「敏感な問題だとは思うが、台湾では興味を持つ人の方が多いのでやってみようと思った」と話す。主催者側によれば、当日は200人を越える参加者が訪れ、中南部からの参加者もいたと言う。法政大学渡辺浩教授は、「台湾は非常に東アジア認識の高い場所だと思う。日本でこのような会議を開いてもなかなか人が集まらないでしょう」と語り、台湾人学生の反応の大きさにも驚いていた。会場では、日本語と中国語の同時通訳も行なわれ、スピーディーで活発なフォーラムが展開された。
交流協会の河野明子文化室主任は、交流協会が日台関係発展のために若い世代、次世代を担う人材の育成を重視していることに触れ、「(フォーラムが)東アジアにおける対話、日本と台湾の対話を更に推進するものになることを、そして今日多くの学生が参加しているが、各先生方の発表を若い皆さんに多くの啓発を与えることを期待している」と述べた。フォーラムでは9つの研究が発表され、参加者には熱心にメモを取る姿も見られた。