オークラプレステージ台北総経理 梅原真次さん

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大倉久和大飯店(オークラプレステージ台北)は2012年8月3日にオープンした最高級ホテル。ブランド店や老舗ホテル、日本企業、台湾の金融機関が立ち並ぶ中山北路と南京東路の交差点近くに位置し、抜群のロケーションと、日本式のおもてなしで訪れる人を迎え入れる。今回は開業から一周年を目前とするオークラプレステージ台北の梅原真次総経理を訪ね、ホテルオークラの台湾進出から現在に至るまでのお話を伺った。

 

オークラプレステージ台北梅原真次総経理
オークラプレステージ台北梅原真次総経理

 

ホテルオークラは近年、アジアを中心にした事業展開を積極的に行なっている。そのなかでも、核となる場所が台湾だったと言う。「10年以上前から進出をしたくて、場所や条件を探しており、昨年やっとここに進出することができた」。中山北路と言う場所を選んだことについては「日系の企業さんが多いものですから。当然ながら信義区での進出の話もあったんですけれども、やはり私ども日系ホテルですので、日本の方が好まれる地域、場所と言った所が一番良いと言うことで」と語る。

 

オークラプレステージ台北
オークラプレステージ台北

 

ただ、中山北路は多くの老舗ホテルが軒を連ねるホテル激戦区。オークラプレステージ台北の特徴について、日系ホテルならではのサービスを強調する。「オークラは海外に進出するにあたって、特に何というのはないです。基本的に東京でやってきたサービスを世界各国の事業所で展開する。一番良いサービス、一番良い建物、一番良い料理を提供して行く」。そうすることで、他ホテルとの差別化も図っていると言う。しかし一方では、台湾の文化を優先する事もあったと言う。ランチ、ディナーの時間帯もビュッフェ形式のレストランは、台湾人のライフスタイルに合わせたもの。実際に台湾人からは好評だと言う。

 

オープンからまもなく一年。梅原さんの実感として、台湾での知名度は着実に上がってきていると言う。しかし「まだまだ努力すべき点はあるのかなとそう思っています」と語り、現状に甘んじない堅実な姿勢を伺わせた。現在日本人宿泊客は全体の約50%。中南部からの台湾人や、新竹・桃園からの駐在員の宿泊利用も15%程度あると言う。マカオ・香港・シンガポール、欧米からの利用も増えている。「当初は7割近くは日系の方かなと予想はしていました。将来三年後くらいには半分にして、欧米を中心としたシェアがとれればなと思っていたのですが、思った以上に欧米の方が早く認知し、くるようになったと。シェア的には割と早く、認知されたと言うのが感想です」。

 

約300名の従業員のうち、280名は台湾人を採用している。オープンに際し日本からそれぞれの部門のトレーナーを呼び、2、3ヶ月かけてオークラ式のやり方を「一から十まで教え込んだ」と言う。「お客様に関してはオークラに対しては日本のホテルだと言う観念がありますからね。そうするとここにくれば台湾のお客様でも日本で受けたサービスをここでも受けられるだろうと。そういった思いが強くなる訳です」。梅原さんの台北での事業展開に妥協はなかった。「台湾式でやるんであれば、もしくはヨーロッパ式でやるんであれば、うちが出てくる必要がないですから」。

 

一方で、きれいな施設、客室のデザインや使い勝手のよさは、新しいオークラ台北ならでは。梅原さんも「50年オークラがやってきた中から総力を挙げて結集して作ったものですから」と胸を張る。また、レストランで提供される和食と洋食に関しても、日本人がシェフを勤めている。特に和食は本格的な料理を提供し、何のアレンジも加えていない。「逆にここで言う日式レストランにするつもりは全くないです」。台湾で本格的な日本料理が味わえることが、一種の差別化にも繋がっている。

 

今後について梅原さんは「基本的にやることはまったく同じです」と、ホテルオークラの基本姿勢を崩さない。「やることはきまっていますので、特に大きなぶれはないです。後はイベントとかをどうやって仕掛けて行くかと言ったことはそれぞれ、その季節毎に考えて行きますけれども。サービスが変わったり料理の味が変わったりしますとお客様も戸惑いますので」。オークラプレステージ台北は、良いサービス、良い建物、良い料理を提供し、今後も堅実な態度でお客様を迎え入れる考えだ。