チェリスト 堤剛さんインタビュー

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日本を代表するチェリストとして知られる堤剛氏が6月28日と30日、台北と高雄でそれぞれチェロコンサートを行なう。4度目となる今回の訪台公演では初めて菊池知也氏、田中雅弘氏、山本祐之介氏、簡荿玄氏とのセッションや音楽を学ぶ学生らによるチェロアンサンブル、オーケストラスタディを行ない、多くの台湾人を魅了する。今回はコンサート直前の堤氏を訪ね、台湾公演に関するお話や台湾への思いをうかがった。

 

チェリスト堤剛氏
チェリスト堤剛氏

 

堤氏の台湾公演は、毎回台湾人バイオリニスト凃鳳玹氏からの熱いラブコールに応えて実施されている。凃氏と、今回セッションを行なう台湾人チェリストの簡氏とは、鹿児島県で毎年行なわれている霧島国際音楽祭への出演をきっかけに、親しい交流が始まったと言う。また堤氏は以前アメリカ・インディアナの州立大学で教鞭に立っていた頃から、台湾からの留学生と触れ合う機会があったと言い、「年々台湾人留学生のレベルはあがっていて素晴らしいと思っている」と台湾の印象を語る。

 

また、「今では台湾と言うのはアジア諸国の中でも音楽面においてメジャーカントリーの一つになっている。そう言う所で演奏できることは私どもにとりましても大変光栄なことです」と台湾公演への思いを語った。一方で演奏については「自分が音を出して表現する訳ですが、一方通行ではない訳ですね」と語り、観客が一生懸命に聞いている姿や、心の中での反応を感じるとも言う。「台湾のお客様は(演奏していて)とても良い気持ちにさせていただけると言うか、良いものを持って一生懸命聞いて下さっているなと言う感じは受けます」

 

台湾には台北や高雄を中心に、アメリカ時代の教え子や、霧島国際音楽祭をきっかけに知り合った人々が多くいる。今回の公演や交流を通して日本と台湾が身近になることを「大事ですし、いくらかでもお役に立てれば嬉しい」と期待する。また、訪台の度に台南や高雄の音楽学校でマスタークラスを実施したり、台中のナショナルオーケストラとセッションをしたりと精力的に活動している。「学ぶことも多いですし、そう言った体験ができると言うのは私にとって目に見えない収穫になっています」と語り、今後も交流を続けて行きたいと言う。「(交流が)色々な形で広がって行けば良いと思いますし、そうなって行くのが自然だと思います。なにしろ、隣の国ですし」とも。

 

(右から)凃鳳玹氏、堤剛氏、簡荿玄氏
(左から)凃鳳玹氏、堤剛氏、簡荿玄氏

 

台湾公演は堤氏にとって「色々な意味で楽しみ」な公演だと言う。「自分の持っている何かを聞いていただけるのは有り難いことですし、それにどの様な反応が返ってくるかと言うのも凄く楽しみです」。その一方で「音楽以外で言えば、食べ物が大変美味しいですが、そう言った楽しみもありますね。それに、私鉄道が好きなので、台湾高速鉄路が日本の新幹線を導入しているので、アットホームに乗せていただいています」と笑った。