台南市の頼清徳市長は8月7日に開かれた市政会議で、台南市の公的文書においては「日治(時代)」の名称使用に制限を設けないと表明した。日本統治時代の呼称をめぐり、地方自治体首長が意見を表明したのは初めて。台南市長が行政院(内閣)の決定とは異なった立場を表明したことで、政府と地方自治体の足並みが早くも崩れた格好だ。
行政院は先月22日、政府公文書における日本統治時代の名称を「中華民国の主権と、民族の尊厳」の観点から、現在多用されている「日治時代」から、「占拠」または「占領」の意味を持つ「日拠(時代)」に統一し、地方自治体を含む関係各方面にも統一使用を働きかけると発表。しかし、この決定に対して有識者らは中華民国が日本統治時代を占拠、占領とする根拠がないとして反発していた。
7日の市政会議では台南市教育局の鄭邦鎮局長が、「(行政院が決定した)『日拠』の使用は史実と反するのでは」と発言。これを受けて頼市長は「行政院の指示は、必要性も正当性もない」と回答。さらに「公文書の文字、用語統一は、法律によって求められるもので、これは立法院(国会)で定められるべきだ」と述べ、現段階では「日治時代」の使用を妨げることはないと見解を語った。
民進党の地盤として知られる台南市。今回の決定が高雄市や嘉義県、宜蘭県など、他の民進党執政地区にどのような影響をあたえるのかが注目される。
関連記事:「日治」か「日拠」か 日本統治時代の名称をめぐって論争=台湾
http://blog.taiwannews.jp/?p=14972