日台関係研究会が定例講演「民主化25年の中華民国と台湾」開催

0
平成国際大学法学部の加地直紀准教授
平成国際大学法学部の加地直紀准教授

日台関係研究会は毎月定例の研究会を都内で開催し、そのなかで講演を継続実施している。9月14日は、平成国際大学法学部の加地直紀准教授が講演者(テーマは「民主化25年の中華民国と台湾」)だった。

研究会の様子
研究会の様子

講演は午後2時スタート。李登輝元総統による中華民国・台湾の民主化の過程を、生い立ちから1990年3月21日の総統選挙までを振り返った。

まず、李登輝氏は「誠の人、誠実かつ正直な人間だった」という研究者の文献を検証しながら台北高校時代に影響を受けた書物に言及した。西田幾多郎(善の研究)、イマニュエル・カント(批判三書)、ヨハン・ゲーテ(ファウスト)、トマス・カーライル(衣装哲学=新戸部稲造による講義録)を挙げ、これらの思想家の影響により、本省人と外省人の矛盾の止揚としての新台湾人という発想や国民党への嫌悪から国民党の政治力を利用した民主化への道を模索し始めた、とした。

講演のもう1つのポイントは、1990年の総統選挙をめぐる「政争」だった。

李登輝氏は1988年に蒋経国氏が死去したことにより総統(国民党主席代行)に就任、その後、1990年5月に代理総統の任期切れに伴い、同年3月21日に総統選挙が行われた。国民党内では、李登輝氏が党推薦の総統候補として認知されていたが、反李登輝派との間で「2月政争」が勃発した。

加地直紀准教授は、2月10日から11日未明にかけて「暁のクーデター」(反李登輝派)なる不穏な動きがあったことを挙げ、李登輝元総統野にとって「最もきつい時期」だったと述べた。また、3月21日、総統選挙で9割近い得票で当選した李登輝氏は、以後、戒厳令解除や憲法回復、万年議員の引退など「台湾民主化を非常にたくみにやっていた」と結んだ。

平成国際大学浅野和生教授
平成国際大学浅野和生教授

午後3時過ぎより懇親会に移り、加地直紀准教授を囲んで、平成国際大学浅野和生教授を始め関係者、参加者が交流を楽しんだ。初めて参加した学生は「日台の歴史を含めて研究会というスタイルは珍しい。ゼミの関係で参加しましたがとても面白かった」と述べていた。