「台湾に行って美味しいものをたくさん食べたけど、さて日本に何を土産に買って帰ろうか」と悩む観光客も少なくない。空港で適当に見繕って買うも、貰った人が良い反応を示さない場合もある。台湾は現地で食べるグルメの豊富さでは「世界一」と言われるのに…。日本各地の土産の質、美味しさが急激に高まり、日本人の「土産」に対する「舌が肥えた」というのも原因の一つ。しかし、一方で、台湾文化の中で「土産の味」にこだわる文化が少なかったから、という説もある。
「牛肉乾(台湾式ビーフジャーキー)を買ったが日本の税関で没収された」という事例もあれば、「牛軋糖(ミルクと練り飴で作ったキャラメル風アメ)を食べていたら歯にくっついて入れ歯が取れた」というケースも報告されている。
実際、食べ物ではなく「中華雑貨」を買って帰る人も少なくないが、日本のインテリアと合わず、「ありがた迷惑」と捉える人もいる。台湾の形をした固形石鹸などが土産物として定着しつつあるが、液体石鹸が定着しつつある日本人にとって実用的とは言えない。
しかし、昨今の「台湾」に対する世界からの注目を受け、観光客が大量に流れ込み、機を逃すまいと台湾土産品業界も本腰を入れ始めた。食品関連で、従来からの定番は「茶葉」「鳳梨酥(パイナップルケーキ)」だが、そこに「本格指向」が加わった。「茶葉」は台北市内でも各地に店があったが、急須(台湾の本場では専用の小さい茶器を使い、入れ方も異なる)が違ったり、苦みを持つものがあり、「買って土産にするのは定番で便利だが、貰う方の反応がばらつく」というのがこれまで。しかし、最近は「日本の急須でも大丈夫」なように茶葉が大きく、茶葉包みのデザイン性もあり、日本語や英語説明が増えた。味わいも「日本人が好みそうな」ほんのり甘い香りのみに限定している店もある。
「鳳梨酥(パイナップルケーキ)」も、パイナップルの素材にこだわり、甘さを押さえたものも目立つようになった。台湾中部・南投に本店を持つ「微熱山丘」が本格指向での最潮流的存在。栽培に1年半かかる土鳳梨(パイナップル)を使い、果肉の繊維質を残すような食感を出し、甘さ控えめ、日本製の小麦粉を使用し外側のサクサク感を引き出している。台湾人気の高まりを受け、業界も質の追究に余念がない。