10月に、阪神タイガースから戦力外通告を言い渡された林威助選手が、日本プロ野球が実施する「12球団合同トライアウト」に来季以降を託すことになった。現在、兵庫県の阪神タイガース二軍本拠地・鳴尾浜球場で練習に励み、11月に行われるトライアウトに向けコンディションを整えている。トライアウトとは、過去に日本プロ野球に在籍し、退団(もしくは戦力外通告)した選手達が指定の球場に集まり、各球団のスカウトや首脳陣(海外球団のスカウトもいる)が見つめる中、実戦形式の「試験」を行うものだ。
台中市生まれの林選手は高校2年生の時に福岡県柳川高校に野球留学、近畿大学を経て、阪神に入団。台湾代表メンバーとして2004年にアテネ五輪、2006年、2009年にWBCに出場した。2007年に115試合に出場、打率.292、15HRで成績を残すも、2008年以降は右肩、左膝靭帯などの故障に悩まされた。昨年以降は、出場機会が減り、2013年も1軍では1試合での出場にとどまった。
人柄の良さも、ファンから親しまれる要因だった。甲子園のファンのみならず、台湾ファンからの支持も熱い。現在でこそ、日本やアメリカでプレーする台湾人選手は多いが、高校、大学と日本に留学し、日本人枠でドラフト会議で入団した選手の中では「先駆者」。阪神ファンからも惜しむ声も多数上がっている。一方、「打撃は良いが、守備、走塁に問題がある」という評価も拭えなかった。しかし、トライアウトで、守備、走塁面での評価を覆せるか。林威助選手本人は、「できれば日本の球界で選手としてプレーしたい。それが無理なら台湾でのプレーも視野に入れている」と、現役続行を強く希望している。
鳴尾浜球場でのバッティング練習では快音を響かせ、好調をキープしている林選手。トライアウトは11月10日に静岡県草薙球場、11月22日には愛知県ナゴヤ球場で行われる。