日本台湾法律家協会が2013年度(第18回)学術研究総会を開催

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会場の様子
会場の様子

日本台湾法律家協会は、11月15日、白鷗大学(小山市)で2013年度(第18回)日本台湾法律家協会学術研究総会を開催した。共催は白鷗大学法政政策研究所。

会場には、日本と台湾の法律家約50人ほかオブザーバーとして白鷗大学の法学部学生など十数人が集った。

江頭憲治郎副理事長
江頭憲治郎副理事長

江頭憲治郎副理事長は開会の辞のなかで、日本台湾法律家協会の学会は日本と台湾で交互に実施していること、特色として1つの法分野でなく、すべての法分野を対象としていること、学者中心でなく実務者の参加も多く交流が盛んなことなどを紹介した。

莊月清氏(常在国際法律事務所カウンセラー弁護士)
莊月清氏(常在国際法律事務所カウンセラー弁護士)

台湾を代表し、莊月清氏(常在国際法律事務所カウンセラー弁護士)が挨拶し、近年の日台関係の緊密さを、台湾からの訪日観光客数が1月から9月までに180万人を突破、前年比50%増であることなどを例に紹介、「来年は台中で開催されます。歓迎しますので皆さん、ぜひいらしてください」と呼びかけた。

白鷗大学上岡條ニ理事長
白鷗大学上岡條ニ理事長

白鷗大学上岡條ニ理事長は、前日の東京スカイツリー展望台レストラン(レセプション)の体験(夜景の美しさ・高速エレベーター)を語りながら、同日夜、歓迎会実施予定の「湯西川温泉」の秘湯ぶりを紹介して会場を和ませていた。この後、衆議院議員柴山昌彦氏の祝辞代読があった。

范姜真媺・東海大学法律学系副教授
范姜真媺・東海大学法律学系副教授
友岡史仁・日本大学法学部教授
友岡史仁・日本大学法学部教授

学会は、午前の部として、日本では国民総背番号制や住民基本台帳ネットワークシステム、マイナンバー制度などで関心が高い、個人情報保護法に焦点を当てた。

まず、范姜真媺・東海大学法律学系副教授が「台湾における個人情報保護法の現状と適用範囲の検討」と題し、続いて友岡史仁・日本大学法学部教授が「日本における個人情報保護制度―行政情報に係る諸課題を中心にして」と題し、発表を行った。

午後の部は、被疑者の人権に深く関わる“取調べの可視化”に焦点を当てた。日本では、冤罪の温床と言われる“代用監獄”における自白偏重の取調べが長い間、問題視されてきたが、警察・検察における取調べの録画・録音による全面可視化の現況を、また、すでに“可視化”が法的に実現している台湾の実情を、第一線の法律家がそれぞれ、報告した。

高志明氏・萬國法律事務所弁護士
高志明氏・萬國法律事務所弁護士
山下幸夫・光伸法律事務所弁護士
山下幸夫・光伸法律事務所弁護士
角田雄彦・白鴎大学法科大学院准教授
角田雄彦・白鴎大学法科大学院准教授

まず、高志明氏・萬國法律事務所弁護士が「台湾における取調べの可視化の実践」と題し発表。続いて、山下幸夫・光伸法律事務所弁護士が「日本における取調べ可視化の現状と今後の見通しについて」と題し、及び、角田雄彦・白鴎大学法科大学院准教授が「取調べ可視化に関わる将来的な課題」と題し、発表を行った。

2つのテーマで、日台の法律家が明らかにした差異はどこにあったか。“取調べの可視化”で山下幸夫・光伸法律事務所弁護士が行った総括にその一端が表れていた。山下弁護士は2度、台北に視察調査した経験を持つが、“台湾の裁判官の人権意識の高さ”“自白の証拠能力を否定して排除するよう運用”““立法府においても人権意識が高い”“弁護人立会権が認められた”と述べる一方、日本は“裁判官の人権意識が低い”“官僚が作成する法案が中心”“日本の法文化の独自論”といった特徴があり、「このような台湾と日本の差が、取調べの可視化の問題においてもよく表れている。日本は台湾から学ぶべきことが多い」と結んだ。

白鷗大学清水正義法学部教授
白鷗大学清水正義法学部教授

閉会の辞は白鷗大学清水正義法学部教授が行った。

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