日本を代表する国際音楽コンクールの1つ、仙台国際音楽コンクールが昨年5月25日から6月30日まで仙台市で開催された。同音楽祭は、世界の芸術文化への貢献と国際交流の推進を目的として、2001年から3年おきに開かれており、5回目だった。ヴァイオリンとピアノの2部門に34の国・地域から343人の申し込みがあり、予備審査を経て71人が参加した。来場者は、9000人以上だった。
ヴァイオリン部門(5月25日~6月9日)には34人が参加し、予選、セミファイナルを経て6月8日、ヴァイオリン部門ファイナル2日目が行われた。課題曲はブラームスのヴァイオリン協奏曲。審査の結果、1位になったのは米国生まれ、台湾育ちで、現在、米国を拠点に活動するリチャード・リン(22)。台湾からは初の入賞者となった。
リチャード・リンは、1991年アリゾナ・フェニックス生まれ。台湾に帰国し、父親がオーディオ機器の会社に勤務し、クラシック音楽を愛好していたことから4歳からヴァイオリンを習い始めた。中学卒業時に全国音楽コンクールで1位となり、台中二中(高校)音楽クラスに合格。16歳で渡米。2008年には米カーティス音楽院でアーロン・ロザンドに師事し、現在ジュリアード音楽院でルイス・カプランに師事している。
これまで、オクラホマ音楽コンクールのヴァイオリン部門で優勝、2009年には、第2回新唐人華人コンクールの銀賞、2011年にはNZマイケル・ヒル国際ヴァイオリンコンクールで準優勝および最優秀新作品表現賞、NTDTV国際中国ヴァイオリンコンクール第2位、ナショナル台湾音楽コンクール第1位などを受賞。
ところで、主催者である仙台国際音楽コンクール組織委員会・仙台市・公益財団法人仙台市市民文化事業団は、同コンクール優勝者の副賞として2016年12月末までに、日本国内でのリサイタル出演の機会、オーケストラとの3回以上の共演の機会を提供することを約束している。この副賞の一環として、リチャード・リンのリサイタル「第5回仙台国際音楽コンクール優勝記念演奏会東京公演」が浜離宮朝日ホールで今年6月19日に開催されることになった。
演奏曲は、ブラームスヴァイオリンソナタ全曲。第一番ト長調 OP.78、第2番イ長調OP.100、第3番ニ短調 OP.108。リチャード・リンの今後の活躍に注目したい。