台湾人農業関係者が日本の農業を視察 〜日台の農業の違いとは?〜

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日台貿易商談会の参加者達
日台貿易商談会の参加者達

台湾行政院農業委員会国際処が主催し池栄青果株式会社が共催する日台貿易商談会として5月12日から5月16日の5日間、日本の各産地視察が行われた。同会は今回で6回目の開催となる。

台湾からは行政院農業委員会国際処簡任技正の戴德芳氏率いる農糧署、農業委員会、農民、農会、輸出入業者が参加。日本からは東京青果株式会社開発第1部審議役の増田定資氏、池栄青果株式会社社長の藤田克己氏や第3営業部部長の菊池成哲氏、第2営業部部長の雨宮真二氏の他スタッフ2名が参加した。若い世代の参加が目立つ同会の開催目的として戴氏は「この度は台湾農業の未来を見据えて、若い世代をメーンに引き連れてきた。参加者たちは皆、台湾でトップクラスの農業関係者だ。今回視察を行い、これからの農家経営などに活かしていける日本の良い部分を吸収して欲しい。有意義な時間になる事を希望する」と話した。

行政院農業委員会国際処簡任技正の戴德芳氏
行政院農業委員会国際処簡任技正の戴德芳氏

彼らは貸し切りバスで連日にわたり千葉、栃木、茨城の各JAで選果場、圃場や研究室などを見学した他、最終日には築地市場に並ぶ巨大市場である大田市場を見学。

最終日に視察した大田市場
最終日に視察した大田市場
大田市場のマンゴーブースにて記念撮影
大田市場のマンゴーブースにて記念撮影

視察した各地で意見交換会が行われたが、台湾からの参加者は皆熱心で、質問が途切れる事無く飛び交っていた。選果場、圃場を見学する際も常に質問をしたり、写真撮影をしたりと興味を示した。最終日まで疲れた様子をみせない彼らのパワーは、流石台湾農業トップクラスの人材である。今後の台湾における農業発展に期待が持たれる。

意見交換会の様子
意見交換会の様子

 

 

大田市場にて説明をする東京青果株式会社開発第1部審議役の増田定資さん
大田市場にて説明をする東京青果株式会社開発第1部審議役の増田定資さん

 

 

—1日密着取材!台湾人がみた千葉・農業発展の現状—

 

台湾新聞では台日貿易商談会の千葉産地視察に1日密着した。

左から台湾でトマトを栽培する呂藍平さん、池栄青果株式会社藤田克己社長、埔里鎮椒類生產合作社理事主席の藩美玲さん、千葉県農林水産部技師の新居友明さん、沃田農場(トマト)の陳育旗さん
左から台湾でトマトを栽培する呂藍平さん、池栄青果株式会社藤田克己社長、埔里鎮椒類生產合作社理事主席の藩美玲さん、千葉県農林水産部技師の新居友明さん、沃田農場(トマト)の陳育旗さん

2日目となる千葉産地視察。観光バスを貸し切り1日かけてJAちばみどり旭営農センター「フレッシュグリーン」、千葉県農林総合研究センター東総野菜研究室、野菜研究室の順で視察を行った。「フレッシュグリーン」では選果場で稼働から18年を経て老朽化したことにより、平成24年に再整備された選果機などを見学。意見交換会は再整備され機能強化されたことによる農民の負担削減についてや、箱詰めの費用問題などの質問をメーンに行われた。

視察した胡瓜の選果場
視察した胡瓜の選果場
トマトの選果機を見学する行政院農業委員会台南区農業改良場副研究員の鐘瑞永さん(写真手前)
トマトの選果機を見学する行政院農業委員会台南区農業改良場副研究員の鐘瑞永さん(写真手前)

JAちばみどり農業協同組合専務理事の石毛博志氏はこのような会の開催について「私も農家だが、農家は色々な経験が無いといいものが作れない。色々な所を見たり、聞いたり色々な知識が多ければ多いほどいいものが作れる。1人では農家はやっていけないのだ。それが日本であれ台湾であれ、同じ農家として実際に見に来て頂いて少しでもお役に立てるならお互いの為であるし、歓迎だ。台湾の農家が沢山ものを作って日本の農家が困る事はないのだから。機会があれば是非今度は逆に台湾に足を運びたい」と語った。

JAちばみどり農業協同組合専務理事の石毛博志さん
JAちばみどり農業協同組合専務理事の石毛博志さん
熱心にメモをとる台湾農家の農民たち
熱心にメモをとる台湾農家の農民たち

また、東総野菜研究室ではタカミメロンの現物と圃場を見学。写真を撮ったり実際にメロンを触ってみたりして日本のメロン栽培への理解を深めた。

メロンの圃場を見学
メロンの圃場を見学

こちらでの意見交換会では千葉県農林総合研究センター北総園芸研究所・東総野菜研究室研究員の吉橋泰彦氏がメロン栽培方法や生産・販売状況、輸出関連試験について説明。日本のメロン糖度16度に対し、台湾では18度なければならないという台湾人農民の言葉に驚き、日台のメロン栽培の違いについて興味を示していた。最後に訪れた野菜研究室ではトマトの溶液栽培や密植多収技術などを見学した。各見学場所で真剣にメモを取り、写真を撮り、次々に質問をする台湾農民の熱心さに現地のスタッフたちも関心をよせていた。

千葉県農林総合研究センター北総園芸研究所・東総野菜研究室研究員の吉橋泰彦氏はメロン栽培方法や生産・販売状況、輸出関連試験について説明した
千葉県農林総合研究センター北総園芸研究所・東総野菜研究室研究員の吉橋泰彦氏
真剣に見学する台湾農家の皆さん
真剣に見学する台湾農家の皆さん

移動バスの中は台湾人参加者同士、意見交換や交流が行われ終始賑やかだった。途中立ち寄ったサービスエリアに停まっていた長距離トラックを物珍しそうに写真に納める姿が見受けられたが、戴氏に訳を聞くと「台湾は日本のより小さいため、北から南に行くのに然程時間がかからない。よって台湾ではこのような長距離トラックは存在しないのだ」と話していた。夕食はしゃぶしゃぶ食べ放題を堪能。お酒も入り、台湾式乾杯をしたりと皆楽しそうに食事をしていた。その後はホテルに戻る前に池袋の街を散策し、つかの間の観光を楽しんでいた。

 

 

 

—参加した台湾農民の声—

 

沃田農場(トマト)の陳育旗さん
沃田農場(トマト)の陳育旗さん

沃田農場(トマト栽培)の陳育旗さん

「いつもは栽培をしているが今回はマーケティングの勉強もできてよかった。現状として台湾はまだ1つ1つの農家だけでは力不足だと感じた。日本のような大規模では難しいが、何軒かの農家で協力して自分たちのブランドを作り、選別や出荷が出来たらなと思う。台湾の農協に各農家を集めて一つのシステムを作って頂ければなと思う。しかし僕たちは自分たちの作るトマトに自信を持っている。実は台湾と日本のトマトへの認識は少し違っている。日本では野菜扱いのトマトは台湾では果物として食されている。甘くて食感も良い僕たちのトマトを台湾に来た日本人の皆さんには是非体験して頂きたい。」

 

 

埔里鎮椒類生產合作社理事主席の藩美玲さん
埔里鎮椒類生產合作社理事主席の藩美玲さん

埔里鎮椒類生產合作社理事主席の藩美玲さん

「今回初めて日本に来た。私の農家はパプリカの出荷で台北市場の半分を占めている農家だ。視察してみて、日本はシステムがしっかりしていて羨ましいと感じた。台湾ではどうやったら儲かるかを一番に考えるし、各農家で異なった意見を持っているので日本のように農家をまとめるのは難しいことだと思う。台湾は天候に恵まれているので果物の生産量も品質も優れているが、その後の販売方法として価格が均一ではない。その問題が解決出来ればと思う。」

 

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