博物館の相互交流に基づき、東京国立博物館(以下:東博)と九州国立博物館(以下:九博)の収蔵品による日本美術の展覧会「日本美術の粋 東京・九州国立博物館精品展」(仮称)が2016年10月から2017年1月にかけ開催される。会場となるのは2015年末に開館予定の國立故宮博物院南分院(台湾・嘉義県太保市)(以下:南分院)。南分院開館後、最初に海外から作品を借用する大規模な特別展となる。
これをうけ東博は「台北 國立故宮博物院展」が開幕した6月24日、台湾メディア向けに南分院に借用する作品を一部公開。東博の列品管理課長の富田淳さんと、調査研究課長の田良島哲さんによる質疑応答が行われた。
同展には東博及び九博の提案、そして故宮からの要望により日本絵画、仏教彫刻、陶磁・漆器などの名品約150件を精選。国宝、重要文化財、重要美術品が展示作品のうち68件と多きに及び展示される予定となっている。富田さんによると、これは今までに例にない数の借用だという。
主な作品としては、中高生の教科書にも登場する重要文化財の「土偶(縄文時代)」や高村光雲作「老猿(明治時代)」、国宝の狩野秀頼筆「観楓図屏風」など。
田良島さんは作品について「老猿は日本が近代化するなかで、それまでの美術とは異なった新しい製作を象徴する作品である。他の注目作品は江戸時代の葛飾北斎・富嶽三十六景などがあげられる。これは日本のイメージを代表する作品だ」と述べていた。なお、同展のグッズ販売も考慮に入れているという。