今年発売され、人気が高まっている小説「ピンザの島」(ドリアン助川著)が、台湾の「繁体字」に翻訳され、台湾で販売されることが決定した。ドリアン助川さんは、ラジオ全国放送でパーソナリティとして一世風靡した後、現在、作家、歌手として活躍している。台湾へ取材旅行へ訪れたこともある。
今回、日本でヒットしている「ピンザの島」は、幻のチーズづくりに賭ける男たちの物語で、斡旋屋に島の水道工事のアルバイトとして送り込まれた若者が、島のヤギから搾乳しチーズを作るという、無謀な夢にとりつかれる。生きることの圧倒的な奥行きが浮かび上がる長編小説だ。
同作品の翻訳権を購入したのは、台湾の「博識図書出版」で、今後、表紙や内容等は詳細に決定していくと言う。ドリアン助川さんは「台湾の多くの人に読んでもらえれば」と抱負を語る。
また、ドリアン助川さんの新著「プチ革命・言葉の森を育てよう」(岩波ジュニア新書)も出版され、アマゾンや各書店の売り上げランキングでは軒並み高い位置を保持するなど、人気を集めている。本著では台湾でも有名な作家・俵万智さんや映画監督・河瀬直美さんへのインタビュー等を通し、人間の在り方、心の在り方を示している。ドリアン助川さんは「創作や仕事のなかで、積極的、主体的に言葉を収集し、自分なりの辞書をつくっていくことがオリジナルな人生を開拓し、豊かにしていく上でとてつもなく大きな力になる」と話している。「ピンザの島」が繁体字版として台湾の書店に並ぶことで、台湾には多い「日本語学習者」が原版に対する興味を示す可能性も高い。台北市中心や天母地区の百貨店には日本語書籍を扱う店も多数あり、日本語書籍への関心は潜在的に高い。繁体字版の出版により、ドリアン助川さんのこれまでの著作に対する台湾各書店の今後の動きが注目される。