台湾の大手金融グループ・中国信託金融控股(童兆勤理事長=以下:CTBC)が今年の6月5日に発表した邦銀の買収は、日台双方の媒体でも大きく取り上げられ、内外の業界で大きな話題を集めた。外国銀行初の買収劇はCTBC故辜濂松元会長の悲願でもあり「日本で金融基盤を作ることは長年の夢だった」とする願いが叶った出来事だった。その祝賀を記念し10月20日、ホテルオークラ東京で「東京スター銀行祝賀会」が開催された。日華議員懇談会の平沼赳夫会長をはじめ熊本県の蒲島郁夫知事、日本交流協会の大橋光夫会長、CTBCがスポンサードする女子プロゴルファーのテレサ・ルーさん、女優のジュディ・オングさんなどが来賓として来場。祝賀に華を添えた。
平沼会長は「CTBCとスター銀が一緒になり日台の発展の為に大きな一石を投じたということは日華議員懇談会の会長として嬉しいことだ。これを機に日台の関係がますます深い絆で結ばれるという事を確信している」と述べた。
祝賀会では、CTBC元会長の故辜濂松氏の林瑞慧夫人も壇上に上がり江会長及びスター銀代表執行役頭取の入江優氏と固い握手を交わし、元東京都知事石原慎太郎氏も会場に訪れ林夫人に挨拶をする姿も見受けられた。来場者は1000人を超える盛大な会だった。
一方、邦銀買収の詳細も話題に。買収側の東京スター銀行(以下:スター銀)の会長職には新たにCTBCの江丙坤最高顧問(81)が就任しその舵取り役を任された。
現在、台湾の富裕層が日本の不動産を購入する際、スター銀の低金利住宅ローンを使えるよう検討していることを報道機関が行ったインタビューで明らかにするなど、邦銀買収の成果を高めたい意向も示している。
江会長は「昔から日本と縁が深い辜濂松元会長にとって、日本に安定した金融基盤を作ることは長年の夢だった。辜濂松元会長の意思を継ぎ、スター銀の会長に就任できたことを光栄に思う。スター銀とCTBCは共に、海外への進出を目指す日本企業の皆様のご期待に添えるようにしていきたい」と述べた。またCTBC故濂松元会長は昨年6月に志半ばにして他界。その故人の思いが実現できたことは「感慨もひとしお」との思いもあるのだろう。
一方入江氏は「スター銀は皆様の海外投資、取引先の改革など、グローバルなビジネスニーズにお応えしていくことを約束します」と抱負を語った。
CTBCは、スター銀の全株式を約530億円で取得したことで、日本に同社の支店と子会社のスター銀両方を保有する最初の台湾資本による銀行となった。さらに10月14日には日本の北陸銀行と業務提携に関する覚書を新たに締結した。これによりCTBCと提携する日本の金融機関は23行と拡大。今後の動向に注目が集まる。