台湾の地溝油問題で厚労省が制限の一部を解除

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台湾・高雄の食品会社「強冠企業股份有限公司」及び台湾企業の「頂新製油實業股份有限公司」など大手企業をはじめ複数社の食用油を取り扱う企業が、廃油から作った再生食用油、いわゆる「地溝油」(下水油)とラードを混ぜた商品を製造、流通させていた問題が9月初旬に発生した。この問題は台湾のみならず世界中に報道され、大騒ぎとなった。現在でも台湾では、連日この問題が絶えず報道されている。

発生後、各地の地検は食品衛生管理法違反などの罪でかかわった企業らを起訴。問題から事件となり、現在、頂新製油の魏応充前会長に対しては、検察から30年の求刑が下されるなど、厳罰に処す姿勢を崩していない。このほか、被害の影響の大きさなどから、詐欺などの罪状での立件も視野に入れている。

今回、この事件をうけて日本政府は早急に地溝油の使用不使用に関わらず、地溝油を使用していた商品が1つでも該当する台湾企業の商品の輸入を一切ストップした。しかし、一部の台湾のメディアによると、経済部国際貿易局は11月17日、日本が台湾からの輸入食品に設定した制限を、問題の油を使用していない商品については一部解除した、と報じた。

日本の厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室(輸入食品安全対策室)の松本さんによると「現在は地溝油を使用していたとみられる製造業者の商品で、日本の企業から個別の輸入届出があった商品については、台湾と連絡を取り合い商品の安全性の確認が取れ次第、貨物を通すという形をとっており、少しずつ輸入は再開されている」と話した。

 

再生食用油の日本への影響と対策

再生食用油の製造・流通問題の発覚当初、日本への輸出商品は、一部の企業が販売していた沙茶醤と呼ばれる調味料やビーフン、八宝粥、紹興酒、台湾ビールなど数品目。しかし、厚労省はこれらの商品の中で、違法な油を使用している、いないに関わらず、台湾から日本への輸入をストップする規制をした。

その後事件化したこの問題で、日本企業への影響について、主に台湾、そしてアジア諸国から輸入食材の卸販売を行う企業の東永商事株式会社(以下=東永)取締役の河德明氏に話を聞いた。

東永の輸入元で地溝油が使用されていたとされる企業は4社。TTL、味全、牛頭牌そして虎牌だ。これら4社から東永が輸入していた全ての商品に地溝油を使用するものは1つも存在しなかった、という。しかし、この4社は、一部の商品に地溝油が使用されていた事で、日本への全商品の輸出が禁止となったため、東永は同4社の商品の全ての輸入が出来ない状況になった。河取締役によると、これによる損害は金額にして約1000万円を優に超えたのではないかという。河取締役にインタビューをしている際も、頻繁に検疫所から連絡が入り、状況は常に動きをみせている様子だった。

輸入がストッップしていた、東栄商事が取り扱う商品
輸入がストッップしていた、東栄商事が取り扱う商品

また、福來物産有限会社(以下=福來)も台湾からの輸入商品を扱う商社のため、打撃を受けた企業の1つ。福來の張本立代表取締役は「輸入できない台湾の商品の代替品として中国大陸や他の地域の商品を扱うという対応をとっているが、台湾商品には代わりがないものもあり困っている。また、うちは台湾料理屋もやっているが、日本の台湾料理屋にも影響はある。このような事件がおこると日本人があまり台湾料理に対して良いイメージがなくなってしまうだろう。これは避けたい。もともと日本はラード油が輸入できないので、このような廃油が入ってくる事はないのだ。日本に影響がないということをしっかりアピールしていきたい。しかしこの事件は悪い点だけではなく良い点もある。台湾では今まで以上に厳しい検査を実施しているため、今後出回る商品については安全性が向上するだろう」と話していた。

なお、輸入食品安全対策室は事件直後、直ちに日本各地の検疫所及び厚生労働省のホームページにて、「台湾の衛生福利部食品薬物管理署がホームページ上にリストアップした“問題産品清單”に示す製造者らにより製造された食品の輸入届出があった場合は、貨物保留の上、企画情報課検疫所業務管理室を通じて輸入食品安全対策室まで連絡するように」と呼びかけ、対策をとっている。その後も地溝油を使用した企業が発覚するたびに呼びかけを行い、それらの企業が製造した商品の輸入を一切ストップさせていた。

輸入食品安全対策室は「今後は台湾との協議を重ね、その結果を踏まえて同事件に対する体制を随時決定していきたい」との意向を示している。

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