開幕前から高い注目を集めていた「台北故宮博物院展」が閉幕を前に、入場者20万人を突破。21日、九州国立博物館で記念セレモニーが開かれた。20万人目となったのは、友人と訪れたという福岡市城南区の63歳の主婦で、同博物館の三輪嘉六館長から、図録と2万円相当の展覧会関連グッズなど記念品が贈られた。
記念品を受け取った主婦は「5年近く前に、台湾を訪れ、台北故宮博物院に行った際、感激した。今回の開催はそこで展示していないもあり、楽しみにしていた。『藍地描金粉彩游魚文回転瓶』や、『王羲之の書』をじっくりと見たい」と語った。
同展示会は、書画や工芸品など計110件が展示し、110件のうち46件が九州限定公開。新聞や路面広告、電車の中吊り、テレビなど様々なメディア媒体を使っての告知も徹底、継続され、台北駐福岡経済文化弁事処などによる宣伝活動も奏功した。潜在的な九州在住者の歴史文化への造詣が表れた。清時代に制作された「肉形石」は注目を集め、豚の角煮そっくりの門外不出作品。染色技法を駆使してタレが染み込んだ豚の角煮の皮が表現されており、2週間の期間限定での公開。「人と熊」(清時代)は白黒が鮮やかなコントラストで、人と熊が戯れているように見える可愛らしい作品だ。熊本県のキャラクター「くまもん」も展示会イベントで観覧した。清の時代に作られたとされる『紫檀多宝格』は、30点もの器物が収められているまさに乾隆帝のコレクションの縮図。30点の器物は、皇帝が選んだ古今東西の名品をミニチュア化した。青銅器や文房具など中国の様々な工芸品から、ルビーの指輪という中国由来ではないものまで、おもちゃ箱のような、宝箱のような皇帝の遊び心を感じることができる。多宝格の側面には窓があり、宋・元の時代の代表的な書や絵画などを、筆使いまで緻密に再現している。20万人目となった主婦が心待ちにしたという「藍地描金粉菜游魚文回転瓶」も話題性十分だ。
深い藍色の壺に金箔で紋様が描かれ、外側の壺には4つの窓。赤や黒の金魚が泳いでいる様子も描かれている。外側の壺の上部は回転式になっており、中の金魚が描かれた壺が泳いでいるように見える仕組みになっている。
見どころ盛り沢山の同展示会は、話題、集客ともに十分な内容となっている。取材を受けた三輪嘉六館長は、「入場者は当初の予想を上回り順調。何度も後戻りして見入る方も多いようだ」と話した。