台湾は「黑」
台湾の「今年の漢字」は台湾紙「聯合報」とコングロマリット(複合企業)の遠東集団の主催する「台湾2014代表字大選」にて毎年発表される。2014年、台湾では使い古された食用油や革製品の製造過程で出た油、排水から分離した油を加工して作られた油が食用油として売られていた事件が発覚した。問題の油は「黒心油」と呼ばれたことから、開催側が用意した60の候補字に対して6万2607票で「黒」という字が選ばれた。(「黒心」とは「邪悪な心」のニュアンス)また、「黒心企業」の問題も起因しているとされた。日本語では「ブラック企業」と訳せるが、台湾では契約以上の時間にわたり従業員に労働を強いて、残業代や振替休日を与えないなどの労務問題だけでなく、法律上・道義上の“ルール違反”を行う企業がおしなべて「黒心企業」と呼ばれる。なお、以下10位までは「餿、油、怒、食、仮、偽、混、怨、崩」と、マイナスイメージの文字となった。
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日本は「税」
2014年、日本の「今年の漢字」は、消費税の増税が話題になったことなどを理由に167,613票の中から8,679票を獲得し「税」という字が選ばれた。その理由として日本漢字能力検定協会はホームページ上で、消費税率が17年ぶりに引き上げられ税について考えさせられた年であること、税に関わる話題が政財界で多く取り沙汰された1年であったことを挙げている。
「今年の漢字」は、京都に本部がある日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字一文字を一般から募集し、最も多かった字が選ばれる。協会によると、2014年、2番目に多かったのは、ソチオリンピックなどで数多くの熱戦が繰り広げられたことや、デング熱やエボラ出血熱に世間が騒然としたことなどを理由に「熱」の字が、また3番目は県議会議員による政務活動費の不正使用、音楽家ゴーストライター問題など、多くの「嘘」が記者会見などを通じて明らかになったことから「嘘」の字となった。なお、「今年の漢字」の応募箱は、台湾の台湾日本人会や台北日本人学校、交流協会台北事務所にも設置されていた。