福岡県内に拠点を置き、中国にも活動域を広げている劇団道化の篠崎省吾理事長が、福岡のラジオ番組に出演。昨年の活動の総括や、来年以降の台湾での公演意欲について語った。
昨年末の海外公演については「現地の日本人ネットワークをはじめ、様々な関係者が準備に尽力してくれた」と振り返った。海外現地メディアが取材に訪れるなど、穏やかな空気感で公演の日程は進んだという。「民間レベルの交流では、感情的な問題など感じたことは一切ない。日本に興味を持っている現地学生も多いし、日本人が好きな若者も多い。福岡から出店のラーメン店には豚骨ラーメンを目当てに若者が行列を作っている」と話す。また、台湾での公演についても強い意欲を見せ「台湾の劇団とは、北京の舞台で一緒になったことがある。台湾劇団はとても創造的で斬新な発想を持っている。また、台湾の舞台も優れていると聞いている。日本で親交の深い劇団が台湾公演を行っており、環境は整いつつある」と話す。
日本の舞台とは、脚本を書き換え海外の公演に向かう。「生活に密着したものを取り入れるようにしている。例えば、『座布団』はある国とない国がある。『現地の生活文化』を下調べして子供でも分かりやすいように設定する」と話す。
客席のリアクションが地域によって違うこともある。劇団道化の舞台は、客席も交えた一体型になっており、予測していたリアクションとは違った反応が生まれ、出演俳優の機転の利いた「アドリブ」によって成立することもある。脚本家でもある篠崎理事長は「子供の場合、リアクションが予想外なこともある。『オオカミが豚を追いかける』というシーンを客席の中で行ったが、日本ではその光景に笑っているのに対して、オオカミが入らないように子供達が守ろうとする国もある。反応の違いを目の当たりにするにつけ、『海外で舞台をやっている』という実感が込み上げる。海外での舞台は大きな収穫になっている」と実感を語った。「劇団には『完全に中国語を話す役者』以外に、『中国語を勉強中』の役者もいる。実際に、中国人の先生について語学を勉強している。中国語を学ぶことと、中国語の台本を覚えるという二重の準備が必要で、移動中もオーディオ教材を聞いている程だ」と話す。「舞台は俳優との共同作業。本の力が半分、後は役者が握っている。多くのお客さんに楽しんでもらえるよう、力を尽くしていきたい」と話した。