台北駐福岡経済文化弁事処の戎義俊処長が、「九州と台湾の交流への観光促進策」を発表した。一つ目が「国際旅行博(ITF)の活用」。昨年、台湾政府観光局が発表した統計によると、2014年1月〜12月に訪日した台湾人観光客は合計約297万人で、韓国の283万人を抜き、訪日外国人観光客の1位になった。一方、日本から台湾を訪れた観光客は約163万人。戎総領事は「数字上の統計を見ると、台湾の日本に対する『観光逆差』が130万人で、九州の人達を台湾に呼び込む仕掛けが必要だろう。台湾最大規模の国際旅行博(ITF)を活用することも大切。自治体がブースを出して宣伝すれば効果的で、旅行業界からのアプローチは有効だ」と話した。一昨年、九州を訪れた台湾旅行客は16万9千人、昨年は史上始めて20万人を超えたが、北海道の26万、沖縄の24万と比較すると、低い数字。その中で、戎処長は「格安航空会社(LCC)の誘致」も必要だとも指摘する。「昨年、訪日した台湾人212万人のうち、3割がLCCを利用したと言われる。東京・羽田から台北・桃園へのLCCが誕生するという情報が入っている。半額から3分の1の値段で、特に、若い人にとっての利便性が高まる。九州も、各県の自治体、空港が誘致することで、台湾へのLCCを整備して欲しい。LCCが誕生すれば、観光客も格段に増えるだろう」としている。
また、戎処長は「台湾版『オルレコース』の開発」も挙げる。「今後は円安によって、台湾からの観光客の増加ペースが加速する可能性がある。しかし、台湾人の大多数の行き先は、東京や大阪・京都、北海道。九州の知名度はまだまだ低い。九州には韓国人観光客が多く訪れているが、背景に山歩きを楽しむ韓国文化『オルレ』を観光に導入したことも要因だ。韓国の多くの年輩の方が、九州の山道を堪能している。台湾は自転車文化が盛んで、自転車メーカー『GIANT』は世界シェアの4割を占める。台湾では家族連れのサイクリングが盛んだ。この趣向を活かし、台湾人も好む『サイクリングコース』を開発するのはどうだろうか・・・。熊本県は、すでに阿蘇、高千穂、竹田などを結ぶサイクリングコースを計画している。九州が協同で全域の『魅力』を創造していくのが効果的」と提言。精力的に、九州・山口地域の活動へと足を運ぶ戎処長は、「台湾と九州は共通点が多い。台湾は世界一の親日国家。九州の人にも昨年の故宮展をきっかけに台湾を訪れて欲しい」と話している。