地方交流の強化などを目的に来日中の桃園市鄭文燦市長率いる訪問団約20人は9月7日、千葉県を訪問。千葉県庁や成田市役所、成田国際空港(以下:成田空港)を訪問したほか、成田国際空港直結の鉄道アクセスなどを視察し、同じ空港を所有する市としての交流を深めた。
鄭市長一行は成田空港訪問時、成田国際空港の夏目誠社長らと面会し、空港への鉄道アクセスや、それによる周辺産業の発展などについて意見交換を行った。鄭市長は「成田空港は、鉄道アクセス利便化などの国際空港事業を通じて、周辺地域の発展に巨大な影響を与えている。この成田空港の成功事例を現在建設中の桃園メトロ(MRT)空港線などの参考にしたい」と述べた。面会後は「第2空港ビル」駅から「成田」駅まで、京成本線の特急に乗車し、実践的な視察を行った。
同MRTは、台北駅から桃園空港までを最短35分で結び、台北市内から同空港へのアクセスが大幅に改善するというもの。当初今年末の開通を予定していたが、台湾を襲った台風13号の被害や事業用車の脱線事故などの影響で工事が遅れ、開通時期は来年の3月と見込まれている。鄭市長は「同MRTは台北市、新北市、桃園市と3つの直轄市を通過し、その中には台湾の一番大きい病院、野球場、アウトレットもある。しかも桃園から台北への通勤にもかなり便利な路線になる」とアピールしたほか、期限通り開通させる自信があるかと記者に問われると、「自信はある」と力強く述べた。
また、鄭市長は成田市役所訪問で、今年4月にオープンした成田空港第3ターミナルと建設が計画されている第3滑走路について言及。「桃園空港も現在第3ターミナル、第3滑走路の建設を予定しており、これによる空港の人流、物流も成田空港から学びたい」と述べた。そのうえで「桃園市も第3滑走路建設に取り組んでいるが、地域住民からの反対意見もある」とし、成田市の小泉一成市長に意見を求めた。小泉市長はこの問いに対し「第3ターミナルや第3滑走路の建設への反対の理由は、騒音についてのものがほとんどだ。騒音対策にはしっかりと取り組み、反対している方々の理解を得られるようにすること」とアドバイスした。
なお、同日夜にはホテルニューオータニ幕張で、同訪問団と千葉県関係者らの晩餐会が行われ、千葉県の諸橋省明副知事や県内の市長ら、市議会の議長や議員らが参加し同訪問団と交流した。鄭市長は参加した千葉関係者らに対し、桃園市の現在の取り組みなどを説明したほか、来年2月に桃園で開催されるランタンフェスティバルへの来場を呼び掛けた。