国内最大規模を誇る347のホテルを展開する総合都市開発のアパグループ(本社=東京都港区赤坂、元谷外志雄社長)はこのほど、米ニュージャージー州を拠点に不動産投資を行っている台湾企業「友井集団(フレンドウェルグループ、会長:鄭尊仁)」と戦略的業務提携契約を締結し、合弁会社「APA HOTEL FRANCHISE LLC」を設立した。
APA LLCは11月12日、ニューヨーク・マンハッタンで記者発表会を行った。アパグループの元谷外志雄社長及びアパホテルの元谷芙美子社長、そしてフレンドウェルグループの鄭会長及び鄭吉成CEO、さらにAPA HOTEL FRANCHISE LCCのCOOに就任するChris Akoury氏らが出席。同社は米国内においては、フランチャイズ方式による「アパホテル」ブランドのホテル事業の展開であると発表した。
記者発表会で鄭CEOは「今後5年でニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロサンゼルスワシントンD.Cなどの都市で100ホテルを目指す」と今後のプランを提示。さらに元谷外志雄社長は、アパホテルの掲げる「新都市型ホテル」の理念を説明した上で、「アパホテルをアメリカ全土で展開していくことでアメリカにおけるホテル文化を変えていく」と述べた。また、鄭会長は「日本の文化と、台湾の文化と、アメリカの文化を融合し、新しいホテル文化を創りましょう」との意気込みを後日語った。
一方、台湾駐ニューヨーク台北経済文化弁事処の章文樑処長は今回の提携について、得難い機会だとし、日米がTPP(環太平洋経済連携協定)の参加国であることに触れ、日米経済界の協力により台湾の早期加入が実現できれば、と述べた。
なぜフレンドウェルグループと締結?
アパグループによると、このほどの提携の経緯は、共通の知人からの紹介がきっかけという。鄭会長と鄭CEOは兄弟であり、もともとアパホテルのビジネスモデルに強い関心を持っていた。一方、アパグループ側も鄭兄弟の招待でニュージャージー州に保有するホテル及び商業施設の視察や、鄭兄弟を私共のホテルに案内するうちに「アパホテルを一緒にアメリカで展開しよう」という共通認識が芽生え、今回の提携に至ったという。
当初の予定では海外展開は約2年後をイメージしていた、というが、提携ホテルを含むアパホテルネットワークが客室数で日本最大規模となり、今期の連結決算見込みが売上高900億円、経常利益272億円と、利益水準においてもホテル業界で日本最大規模となった事を契機に、鄭兄弟という人間的にも素晴らしいパートナーと出会えた事も後押しし、一気に海外展開を決断したとみられる。
フレンドウェルは1989年に台湾で創設され、不動産事業を主として中国、アメリカ、日本へと展開。アメリカには1996年に進出し、ニュージャージー州を拠点としホテル、ショッピングセンター、オフィスビルを次々と取得。現在ホテル13棟、ショッピングセンター12ヶ所、オフィスビル6棟を保有するに至っている。
アメリカ第1号店は来年5月グランドオープン
APA HOTEL FRANCHISE LCCは11月13日、アメリカ国内第1号ホテルとして、早速APA HOTEL WOODBRIDGEをオープンさせた。同ホテルは、これまで「ヒルトン」ブランドとしてHilton Woodbridgeの名称で運営されており、このほどのオープンは、同社が名称を変更して運営を始めた、という意味合いである。同社は今後、同ホテルをアパホテルブランドへ転換していくに当たり、客室へのウォシュレット設置やフロント・ロビーなどの改装を行うほか、フリーチェックアウトやハイグレードアメニティの一部導入も視野に入れ、2016年5月20日のグランドオープンを目指している。元谷社長によると、第2店舗目のホテルはニューヨークで検討中であるという。
さらに、アパグループによると、アメリカで一定の成功を収めれば次は台湾でも同じようなスキームでアパホテルを展開しようという話は出ている、という。しかし具体的な計画は現在のところまだ出ていないという。