台湾の原住民によって編成された伝統的舞踊と音楽のパフォーマンスチーム「原舞者」のメンバー8人は6月19日と20日、それぞれ台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと慶応義塾大学三田キャンパスで公演した。テーマは「海への記憶」とされ、阿美(アミ)族と卑南(プユマ)族が祭りの際に実際に用いられている儀式的な音楽と舞踊を披露した。日本での公演は今回が2回目。また、この度、台湾文化センターと協力し公演を取り仕切った慶應大学アート・センターの森下隆さんによると、同大で台湾原住民のパフォーマンスが行われるのは初めて。
公演では、先に「原舞者」の芸術総監督である懷劭・法努司さんによる原住民の民族についての説明のほか、1つ1つの踊りの意味などを事細かに解説。また、パフォーマンス後のQ&Aでは、日本人来場者や中国人来場者からの原住民関連の質問が次々と投げかかられ、懷劭・法努司さんが1つずつ丁寧に返答し、来場者の台湾原住民についての理解を深めた。
懷劭・法努司さんは、「同公演は、台湾の文化の多様性を日本に知ってもらう事が大きなテーマ。質疑応答の時間に沢山質問を頂き、皆さんが台湾文化に沢山興味を持っていただいていることを実感でき、感動した」と話した。
台湾文化センターの朱文清センター長は、「『原舞者』は、観光客向けの踊りではなく、フィールドワークで調査した祭りのための踊り、歌を集めて伝承してきたもの。台湾文化部が同グループを日本に紹介したいとの事でアート・センターに推薦した。今後も、日本の大学や台湾の関心の有る人に向けて、台湾伝統文化を紹介していきたい」と述べた。
公演後、森下さんは、「神秘的なパフォーマンスで、とても心に響いた」としたほか、「こちらとしては、会場などの準備不足が反省点だ。次回はもっと大きな会場、または野外でも公演できれば」と次回への期待を述べた。
「原舞者」は1991年に結成され、現在は約26人。台湾各地を巡回し、数百回にのぼる公演を実施してきた。1992年には民間が制定する最高の賞である「呉三連文芸賞」も、芸術部門で受賞している。