日本で開催される「2016年台湾エクセレント商品及びパテント商品商談会」のトップを切って、9月26日にグランドハイアット福岡に大勢の来場者を集めて展示・商談会がスタートした。主催は台湾経済部国際貿易局。台湾貿易センター(TAITRA)が執行し、共催・後援に日本貿易振興会(JETRO)や日台の経済団体が並ぶ。
今年のテーマを「台湾スマート生活」とするだけあって、スマートなデザイン、スマートなアイディア、スマートな機能を盛り込んだ商品が77社から出展され、来場者の目を引いた。
一般入場に先立つオープニング式典では、台北駐福岡経済文化辦事處の戎義俊處長、中華民國對外貿易發展協會(TAITRA) 市場拓展處の左惟達副處長、出展企業団の許伯章団長が挨拶した。
最初に挨拶に立った福岡辦事處の戎義俊處長は、まず2015年の日台間の相互往来者数が500万人超である中で、日本の1割経済圏と言われる九州・山口のホテルに宿泊した台湾観光客が2割を超えて108万3,530人に達するなど、台湾と九州・山口が非常に密接な関係にあることを指摘した。また、2015年の九州と台湾の貿易関係を見ると、九州にとって台湾は中国、韓国、アメリカに次ぐ4番目の輸出相手国で輸出額は4,625億円であること。輸入額は2,986億円で8番目の相手国であること。しかも、対前年比では、輸出は123.6%、輸入は141.4%と大きく伸びていることを挙げ、この商談会も重要な役割を担っていると述べた。
TAITRA市場拓展處の左惟達副處長は、「日本における展示・商談会は最初に東京で開いた時から数えて21回目。九州では18回目だが、回を重ねるごとに企業の内容・展示商品の品質ともレベルアップしてきた。我々にとっては全世界が相手なので、市場が何を求めているのかを常にアンテナを張り、知っておかなければならない。その意味で、この展示・商談会の重要性を認識してもらいたい」と述べた。
出展企業団の許伯章団長は「日本では商談が成立するまでに時間がかかるのが普通だが、現場で最初に注文を貰ったのが九州だったことが印象に残っている。ここ九州で頑張りましょう」と挨拶した。
月末の月曜日の開催という 好条件とは言えない日程にも拘らず、商社、メーカー、販売会社などから多数の来場者があり、あちこちのテーブルで、日本語、華語、英語を交えて、商品の特徴を説明したり、取引条件や日本における販売方針などを聞く光景が繰り広げられた。
この展示会は福岡に続いて、28日(水)には大阪のスイスホテル南海大阪で、30日(金)には帝国ホテル東京で開催され、スマート生活にふさわしい台湾商品を日本全国に売り込む予定だ。
入場無料、出入り自由だが、人数確認のため事前登録制をとっており、来場希望者には、下記の特設ページにて登録してくれるように、台湾貿易センターでは呼びかけている。
http://www.taitra.gr.jp/event/life/
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展示場の談話スペースで記者の追加質問に答えたTAITRA市場拓展處の左惟達副處長は、この展示・商談会を東京や大阪のような超巨大都市だけでなく、福岡で開催することの意味について、次のように述べた。
「最初の挨拶でも言ったように、我々にとっては全世界がターゲットなので、市場が何を求めているかを常にアンテナを張り、知っておかなければならない。そのためには、その土地の生活やビジネスを様々な角度から眺め、そこに合ったニーズを探ることが重要である。
福岡には東京や大阪と似通ったところも多いが、必ずしも同質ではない。時間・空間的な成り立ちが違うし、一方で古くからの歴史がありながら、他方で若い人がどんどん増えているなど、人口の年齢構成も違う。そしてこのことは生活の質や人情、感情にまで影響を与えていると思われる。欲しい商品に対するニーズも違うだろう。それはここに来てみないと分からない。
経済力だけを見ると、もちろん福岡は東京や大阪より小さい。九州全体が日本の1割経済だということも分かっている。しかし『量』だけでなく『質』を感じ取ることが将来に繋がる。まずこのような展示・商談会で台湾商品の露出機会を増やし、それに対する反応から現場の要望を知り、さらに隠れたニーズを掘り起こしたい。
もっと広く考えれば、東京、大阪、福岡以外の場所でミニ商談会を開催することも必要かも知れない。札幌、仙台、広島などだ。今回集まった77の企業にもこのことに対する意見を聞いてみたいと思っている。
またTAITRAの各事務所に頑張ってもらって地域の経済団体と協力して、日本のバイヤーを台湾に連れて来てもらいたいとも願っている」。
福岡で展示・商談会を開催することの意味から次のステージまで話が及ぶなど、奥行きのあるマーケティング論が聞かれるインタビューとなった。