岩手県大槌町を拠点に、音楽による交流と復興を進める「槌音プロジェクト」のチャリティーコンサートが11月16日、東京都港区のサントリーホールブルーローズで開かれた。同コンサートには、台湾中部・南投県埔里を拠点とするバタフライ交響楽団の青少年ら7人も特別出演し、大槌町へ音楽を通じてエールを送った。同楽団の出演は2014年に続き2回目だった。
バタフライ交響楽団は、1999年マグニチュード7.6の台湾中心部を震源とする台湾中部大地震(九二一大地震)で甚大な被害を受けた埔里を「音楽の力で励ましたい」と考えた音楽家の謝東昇氏が、被災した子どもたちに管弦楽を指導し、芸術・文化の町として復興を目指す新故郷文教基金会との協力で2013年に結成された楽団。楽団名は、埔里がチョウの有名な生息地であることから名付けられた。現在では約300人のメンバーが参加している。
謝氏はこのほどのコンサートにも出席し、「九二一大地震を受けて、私が力になれることは音楽しかないと思い、実行に移した。現在同楽団のメンバーは300人ほどで、その中には原住民も新住民(台湾人と結婚した外国籍の配偶者)の2代目もいる。台湾は多国籍国家であり、私達は音楽を通じてみんなを繋げて行きたい。今後は更に人材育成の事業に取り組む予定だ」と目標を述べた。
同楽団は同コンサートで、アメージングレースや詹宏達氏が作詞作曲した「天使のダンスを夢に見た(我彷彿看見天使跳舞)」など3曲を演奏。座って演奏するだけではなく、立ち上がり移動しながらパフォーマンスするなどして、観客を盛り上げた。なお、トロンボーンは大槌町が所有している楽器、チェロは福島県相馬市が所有している楽器を使用した。トロンボーンを担当した中学3年生の孟彦緯さんは、「とても特別な体験だった。このような交流は学ぶことが多いです。是非また日本で演奏したい。これからも日本の方と交流し一緒に頑張って行きたい」と話した。
同楽団は11月17日から19日にかけて沼田市、石巻市や松島市などの被災地で巡回公演を行うほか、福島県相馬市では芸術活動で子供の自己実現を支援するエル・システマジャパンのオーケストラと交流する。