台湾貿易センター主催の「台湾再生エネルギー産業セミナー2017」が3月1日、東京ビックサイト商談室で開催された。現在台湾では、蔡英文政権の下、今年1月に「2025年までに脱原発国」を定めた電気事業法改正案が可決された事に対し、現在台湾の電力約14%を占めている原子力発電(以下:原発)を再生エネルギーにシフトしていこうという動きがある。政府は2025年までに、全ての再生可能エネルギーによる発電比率を20%増加させ、発電量500億Kwを再生エネルギーに転換するという政策を表明。中でも太陽光発電は全体の約半分に当たる250億Kwと最も期待が高い。
台湾太陽光電産業協会の張秉衡理事長によると、発電率20%増加を達成するため、先ずは「2年計画」という太陽光発電量に関する政策が打ち出されたという。張理事長は同政策に対し、2016年7月から2018年6月の2年間で1,520GWの太陽光発電システム設置との目標を掲げた。公的機関や政府機関の屋上提供や農業委員会による全ての養殖場の屋上の提供、また、地方政府による一般建築の屋上を使えるように規制をかけている等、政府と一体となって目標達成を試みている。そしてこの2年間で法令や制度の改革を整え、送電網を増やし、3年目以降よりは大幅なメガソーラー事業を計画しているとの事。
なお、張理事長は日本の太陽光発電に関する技術や経験が台湾のマーケットに役立つとし、良きビジネスパートナーになると強調。さらには、日本の投資家が発電システムに投資して、台湾の再生エネルギーの発展に貢献してほしいと語った。
また、台湾電池協会の李桐進理事長は、再生エネルギーによる発電が70%を超えた場合、貯蓄も必要とし、蓄電システムの導入を促した。しかし導入するのには莫大な費用がかかるため、銀行が融資できないかどうか政府に働きかけているとしている。なお、日本は蓄電関係の技術や研究の成果があり、台湾は迅速に認証できる機関が備わっているため、市場連携してビジネスを拡大していきたいと話した。
最後に、台湾スマートグリッド産業協会(以下:TSGIA)の陳彦豪副所長は、電力需要量増加に対し、現在台湾第一原子力発電所の2号機、第二原子力発電所の1号機が停止し、今後は原発廃止に向けて電力不足が起こると言及。台湾発電システムの50%を占める火力発電増加も「炭素排出低減」との政策も同時に打ち出されているため不可能とし、再生エネルギーを推進。将来は発電した電力を直接利用者に送電や、電力会社に売電すると補助的サービスも受けられ、電力自動化も進んでいるとしている。
また、現在TSGIAは台北市と締結している。陳副所長は、スマートグリッドの構築を推奨しており、スマートグリッドにより様々な電力利用者を繋げて発電、最後には電力システムと統合して台北市を1つのバーチャル発電所としたいと話した。