台湾国史館(総統府直属の歴史研究機関)の呉密察館長は10月13日、東京大学で行われた「台湾漢学講座」内で「政府は二二八事件や白色テロに関わる全ての情報を公開する義務がある」と主張した。さらに、今後の政治課題として、「轉型正義(公文書を公開し、二二八事件や白色テロなど政治的迫害における真相と歴史を解明する事で迫害者に正義をもたらす)」を挙げた。
呉館長によると2000年以降、二二八事件を含んだ第二次世界大戦後の史料は大量に収集されていたが、著作権や関連の権利保護などの法律に触れてしまう関係から、公開できていなかったという。呉館長は、一刻も早く史料の機密解除できる法案を起草し、閲覧できるよう求めた。
呉館長は、法令により中国大陸、香港、マカオの住民はこれまで、台湾歴史史料閲覧の申請ができなかった事から、今年4月に蒋介石前総統に関する史料を国士舘のインターネットサイトで公開できるよう仕掛けた。これにより、全ての人が機密解除された史料の閲覧が可能となった。現在では、266万点以上に及ぶあらゆる史料文物をデジタル化し、公開している。
なお、現在台湾では「轉型正義を促進する条例」や政治的迫害が起きた事件の公文書のファイル化を義務付け等の「政治檔案法」の法案起草が議論されている。
東京大学附属図書館と台湾国家図書館は2014年12月、「台湾漢学リソースセンター(臺灣漢學資源中心)」の開設や「台湾漢学講座(隔年)開催」などの内容を盛り込んだ協定を締結している。今回は第二回の台湾漢学講座であり、台湾から呉館長を招き、1970年代以降の台湾歴史研究及び公文書をテーマに講演を実施したもの。
(2017/10/16)