台北駐福岡経済文化辦事處等が主催する「慶祝中華民国(台湾)106年 国慶酒会」が10月6日、ホテルオークラ福岡で開催され、九州・山口・沖縄から駆けつけた800人近い参会者で大いに盛り上がった。
開会の挨拶に立った台北駐福岡経済文化辦事處の 戎義俊處長は、建国の父・孫文が共和制国家の樹立を目指して日本を根拠地に革命運動を推進した時に、熊本・荒尾の宮崎滔天、福岡の玄洋社・頭山満、長崎の梅屋庄吉らが支えてくれたエピソードに触れ、台湾と縁が深い九州の人々と共に建国106 年を祝うことができる事の慶びを語った。
一方、「1992年中台合意」を認めていない蔡英文政権に対して、中国が台湾への観光客を大幅に減らし、WHO(国際保健機関)などの国際機関から台湾を締め出し、莫大な援助金と引き換えに台湾承認国に断交を迫るなど、圧力を強めている事が台湾を苦しい立場に追い込んでいること。しかし、そのような状況下にあっても、日台両国が、台北国立故宮博物院展をきっかけとして文化の共通性を再認識し、相互の観光訪問客数を爆発的に伸ばし、自然災害に際して相手を自分のこと以上に心配し、助け合う関係にあることを述べ、台湾と九州、台湾と日本が今後一層絆を強め、良好で確固たる関係を構築する必要性があることを強調した。
また、台湾人が日本人に対して持つ特別な親日感情の根源に、日本統治時代に台湾人が身に付け、戦後大陸から来た中国人が持ち合わせない精神として誇りにしてきた「勇気」、「誠実」、「勤勉」、「奉公」、「自己犠牲」、「責任感」、「遵法」、「清潔」などを包含する「日本精神(リップンチェンシン)」があることを指摘し、これを若い世代に認識し、引継いでもらうべく、九州山口の高校生の台湾修学旅行の誘致に尽力し、定着拡大しつつあること。台湾への正しい理解の第一歩として、九州大学の「台湾研究講座」が10月10日にスタートすることについて、多くの方々や関係先から寄せられた協力に感謝するとともに、今後一層の支援を願いたい旨の気持ちを表明した。
その後多くの来賓から様々に祝辞や日台関係強化の決意が述べられたが、松浦正人・全国市長会会長(山口県・防府市長)は、自らが昭和21年3月、4歳の時に中華民国上海から引き揚げてきたことを披露し、戦後日本が自立発展できたことの要因の一つに、多大な賠償と補償の責めを負わさない決断をした中華民国の英断に触れた。
さらに、中華民国はいま紆余曲折を経て民主主義国家「台湾」となり、日本と共通の価値観、政治・経済制度を有しており、「我国が本当に信頼してお付き合いできる国は台湾を置いて他にない」と述べると会場から万雷の拍手が起こった。
また、戎総領事が来年定年退官を迎えるために今回が日本における最後の国慶節主催であると話をしたことに関し、戎総領事の活動に負けないように自分達がもっと台湾のことを知り、勉強し、交流の場を積極的に持って行きたいこと。全国市長会814市区のうち 15市が台湾の諸都市と姉妹都市縁組をしているが、全国市長会の代表として、これを飛躍的に増やすための先兵役を務めたいと決意を述べた。
立錐の余地もないという言葉がぴったりの中で来賓諸氏の挨拶が終わった後、美味しい食事をしながら800人近い中から旧知の人を見つけたり、新しく名刺交換をした人達の談笑風景があちこちで見られ、国慶節の祝いを縁に人々の絆が一層固まる宴となった。
そして最後は例年と同じく、辦事處職員、留学生、会場の有志などによる「愛拼才會贏」と「梅花」の合唱があり、厳粛な中にも楽しいお祝いの宴が締めくくられた。