台湾から福岡に来ている留学生と、ホームステイや留学など何らかの形で台湾を体験したことのある日本の大学生が福岡県議会議員や県職員など200人を前に意見交換する催しが12月11日、県議会会議室で行われた。主催したのは福岡県台湾友好議員連盟(会長:井上忠敏県会議員)で、台湾側からは溫偉辰在日福岡留学生会会長(九州大学)ほか7人、日本側からは森中ひかるさん(福岡女子大学)ほか9人が出席した。台・日3人づつの学生がそれぞれの目に映った日本や台湾についてフランクに話し、会場からは、時おり「ホーッ。文化が違うとこんな考え方をするのか?」とか、逆に「国が違っても若い人達の共通点は結構あるものだ」という声も聞かれた。
学生たちの意見発表に先立って挨拶した福岡県台湾友好議員連盟の井上忠敏会長は、日台の交流をいっそう深め、更に継続・発展させていくためには次代を担う若い人々の本音の意見を聞くことが大事であり、それを理解した上で、議員連盟の皆様がそれぞれの立場で頑張ってもらいたいと述べた。
来賓として挨拶に立った台北駐福岡経済文化辦事處の戎義俊處長(総領事)は、台湾と日本の間で様々な形の交流が深まりつつある中でも、大学生の意見発表会が3年間も継続していることには特別な意味がある。この催しを続けてきた議員連盟をはじめ、県議会、県庁職員の皆様に、台湾政府を代表して深く感謝したいと述べた。
さらに戎総領事は、台湾の人は九州が好きで「美好九州」という観光雑誌まで発行されているが、その中でも人気のある福岡については、今年1月から現時点まで53万人が県内のホテルに宿泊するなど頻繁な往来があったことを報告した。また、福岡県と姉妹縁組を進めようとしている台湾第三の都市である台中市で来年11月に開催される「花万博」には、ぜひ福岡県の皆さんに足を運んでいただきたいこと。そして、それをきっかけに台湾と福岡県の交流がいっそう深まることを期待していると述べた。
続いて、台湾側の留学生を代表して溫偉辰さん、謝金玲さん、黃昊暐さんが意見発表を行った。そのうちの一人である謝金玲さんは九州大学の創薬科学科修士課程に在籍しているが、台湾の出身大学の教授、九州大学の教授、自分自身の3人が常時ディスカッションを続けながら研究を進めていること。ゼミ生の中にタイ、マレーシア、ブラジル、中国から来た学生もいて、国際的な視野を持てること。日本国内だけでなく、イタリアの学会で発表する機会を得るなど、恵まれた環境に身を置くことが出来ていることへの感謝を表明した。
そして、九州大学、北海道大学、台北医学大学が共催して9月に実施した国際シンポジウムでは、司会進行の大役を果たすことが出来たが、このような経験を活かして今後も日台の懸け橋になって恩返しをしたいと頬を紅潮させた。
次いで立った日本側の三人の発表者は台湾留学中に学んだ語学力を生かして、全員中国語の挨拶から入った。三人が共通して述べたのは学校での勉強はもちろん、台湾側が様々な交流の機会を作ってくれたことにより、不安のない学生生活が送れたことへの感謝であった。いろいろな主催者やレベルの交流会に参加できたことが大きい糧になったことに鑑み、帰国後西南学院大学には台湾のシステムを手本にして「中国語茶室(カフェ)」作ったことが披露された。そして、日本人と相性が良い台湾人との心の交流をベースに、将来は九州の企業と台湾を結ぶ架け橋になりたいという抱負が口々に語られた。
一時間余りの意見発表後、場所を議会内のレストランに移し、待ち受けた小川 洋福岡県知事を交えて、大勢の議員連盟メンバーと日台の学生が、先の会議とは違った距離の近さで意見を交換し、ホンネをぶつけ合う光景が繰り広げられた。