日本全国の高校生がクイズで金融知力を競う「エコノミクス甲子園」第12回全国大会が2月18日に六本木のハリウッドホールで開催され、台湾の高校が出場した。台湾からの出場は今回が初めて。
同全国大会は、日本の地方大会などで勝ち抜いた高校生が2人一組となり競う大会で、今年は全国から46校に加え、台湾から台湾国立台湾師範大学付属高級中学(以下:師範高校)チーム「怠惰のゴッドイーター」(スポンサー:東京スター銀行)が海外招聘チームとして出場となった。
高校3年生の張浚哲さんは本紙インタビューに対し、「今日のために経済やエコノミクスについて沢山勉強したのに、いざ本番を迎えると、自分の勉強不足を感じた」と話し、悔しがる様子も窺えたが、「とても興味深い内容なので、これからも勉強していきたい。来年はスタッフとして参加できたら良いな」と目を輝かせながら答えた。高校2年生の陳智さんは、「普段勉強している日本語とクイズに出るエコノミクスに関わる日本語では差がありすぎて、本当に難しかった。来年もチャレンジしたい」と来年の出場にも意欲を示していた。また、「大会前日に行われたグループワークや前夜祭で、何人かの高校生が積極的に話してくれた」とほかのチームの高校生と交流できた事に嬉しそうに話した。
なお、今回出場した師範高校チームは、台北市内での書類選考により選出された。二人は11月に選手として選ばれてより準備を開始し、わずか3ヶ月という短い準備期間で大会に挑んだのだ。さらに、勉強を担当した先生と3人で一緒に勉強したり打ち合わせをしたのは5.6回ほどだったという。二人は「自分の力は発揮できた」と話した。
掛け算が上手く合って出場が叶った
一方、全国大会に海外の高校チームが招聘されたのは昨年の上海チームに続き、今回の台湾チームで2回目となった。これは、エコノミクス甲子園主催の金融知力普及協会が「大会の次の発展として、海外を視野に入れていきたい」との意向によるものである。
なお、台湾出場に関して総括管理したのはウィルキューブコーポレーションの馬岡孝行代表。馬岡代表が同協会の水谷昌宏上席研究委員より昨年の大会に招待され、上海チームの活躍している姿を見た際「来年は絶対台湾チームがこのステージに立つのだ」と決心し、1年前より台湾出場を思い描いていたそうだ。
また、馬岡代表によると、今回出場までの1年間「参加者が募るかどうか」、「スポンサーになってくれる銀行はあるか」と2つの山があったという。しかし、台北駐日経済文化代表処をはじめ、参加者を探した台湾の先生やスポンサーを探してくれた人のおかげで出場が叶ったとし、「色々な人たちの掛け算が上手く合った。もしどこか一つでも外していたら出場の実現はできていなかった」と、出場までの想いも語った。
一方、水谷上席研究委員は、「今回は書類審査のみだったが、日本に地方大会があるように、台北、高雄でも地方大会が行えるくらい出場人数を増やしていきたい」と今後台湾からの出場の定着化をほのめかした。
エコノミクス甲子園とは、現役高校生が「自分のライフデザイン」や「自分とお金の関わり方」についてクイズと通して楽しみながら学んでもらう事を目的に開催された大会で、今年で12回目となった。今年は長崎西チームが優勝した。なお、長崎西チームにはニューヨーク証券取引所やマニュライフのグループ会社であるジョン・ハンコックなど金融機関を訪問するニューヨーク・ボストン研修旅行が贈られた。