日台の学術交流を促進する「日台政策研究所」が設立

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IJTPと祭りの研究者ら、松尾理事長(左4)

日台関係のさらなる緊密化と相互の繁栄をもたらす事を目的とした研究機関「日台政策研究所(松尾剛次理事長、Institute for Japanese and Taiwanese Policies、以下:IJTP)がこのほど2月3日に発足された。日本を専門とする台湾人と台湾を専門とする日本人の両研究者らが、それぞれの知識や人脈を生かし、連携や協力態勢を整え、日台の学術や文化交流に貢献していく。
IJTPによると、日台交流のニーズが自治体をはじめ民間レベルにおいても増加傾向にあるなか、その進行が予測を上回る程の急増だった事から、内実を深めるための取り組みが、手薄になっているように散見されていたという。
こうした点からIJTPの松尾理事長は、「今後は学術交流が重要となってくる。会員のほとんどが大学教授のため、日台のさらなる学術交流を推進していきたい」としたほか、「日本の文化や知的な部分を正確に台湾に伝えていきたい」と、同会設立の目的についても述べた。
なお、今後は、台北駐日経済文化代表処(以下:代表処)、さらには台湾との交流に熱心な地方議員や地方経済団体や企業とも連携し、台湾に関する勉強会などの開催や、日本と台湾の政府、自治体、企業に対し、台湾情勢に関する分析、政策提言を行っていく方針で、各セクター・組織相互の仲介、さらに日台交流イベントも開催していく。

祭りをテーマに研究者らが討論

IJTP設立を記念し、「“伝統の創造”の視点から見る祭り」をテーマにシンポジウムが同日、台湾文化センターで開催された。
テーマの発案者は代表処の謝長廷代表。謝代表によると、日本の祭りは、地域一帯となって盛り上がり、誰でも参加できるような楽しい祭りが多いが、一方の台湾の祭りは、信仰の部分が強く、宗教や国籍に関係なく参加できる祭りが少ないという。同シンポジウムを通じ、日本と台湾の祭りの特徴を相互理解し、台湾は日本の祭りを模範できないかとの想いから、祭りをテーマに提案したという。
また、パネルディスカッションでは、祭りに詳しい研究者が招かれ、台湾からは林承緯氏、林茂賢氏が、日本からは山下新一郎氏、設楽健也氏がパネリストとして出席し、自身の国のそれぞれの祭りの特徴について討論した。

「“伝統の創造”の視点から見る祭り」とテーマにパネルディスカッション

日本側によると、祭りは「伝統」が大きなキーワードであり、そこには地元民の協力が必要不可欠で、県外に発信していくには、伝統を保ち、先ずは地元民で盛り上げる事が重要だという。また、伝統の再創造については、伝統を基礎とし、今後も時代の流れにあった祭りに変化させていく事も必要だと強調した。
一方、林茂賢氏は、台湾の「媽祖」信仰の祭りを紹介し、台湾の祭りには、信仰が欠かせない事に言及。「人集めのために祭りをするのではない。祭りにおける観光という部分は故意に強調するものでもない」と話した。
なお、林承緯氏によると、現在日本の祭りに参加する事を目的とした訪日する台湾旅行客が増加しているという。
IJTPでは、本日開催したシンポジウムを皮切りに、今後、日台の学術や文化におけるテーマを下に、様々なイベントを開催していく。
松尾理事長は、「今年中に、昨年11月に開館した日本文化発信拠点『日本文化センター』でもイベントを開催したい」と意気込んでいた。