台湾の生ライチ、産学連携プロジェクトにより輸入可能に

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台湾貿易センター(TAITRA)と、台湾における工作機械部品大手のハイウィン・テクノロジーの日本法人、ハイウィン株式会社は6月28日、パレスホテル東京で「台湾プレミアム生ライチ」記者発表会を開催。今まで原則冷凍保存状態でしか輸入する事が許されていなかった台湾産のライチだが、このたびハイウィンと台湾国立中興大学(以下:中興大学)の産学連携の下、約3年に渡る研究期間を経て開発された鮮度保持の最新技術を用いる事で、台湾産ライチを生のまま、しかも変色無しの新鮮な状態で日本に輸出する事が2018年6月より可能となった事を伝えた。

「台湾プレミアム生ライチ」記者発表会

今後TAITRAでは日本でフルーツフェアなどのB to Cにおけるイベントを設け、台湾産生ライチのPRに注力し認知度を高めていくという。ハイウィンの今年分の生ライチは既に完売しており、実質的な販売開始時期は来年以降となる模様。

 

 

黒ではなく赤のままで!

生ライチを日本に輸出する同プロジェクトの発起人となったのはハイウィンの卓永財会長だ。卓会長は以前より、日本人が本来の真っ赤で瑞々しいライチを知らない事を大変残念に感じており、これを台中市の林佳龍市長と共通の課題として話す中で、同じく台中市に位置し、農業関連の研究を得意とする中興大学に話しを持ちかけた事をきっかけに台中の産学間での協定書を結ぶ流れとなり、このほどのプロジェクトが始動したという。

今回開発された技術は、エビやカニなどの甲殻類から抽出されるキトサンを使用した天然由来のもの。ライチの水分保持と果皮色の鮮度持続を可能にするもので、これによって台湾から安全で瑞々しい真っ赤なライチを日本に輸出する事を可能にした。

会場では生ライチの試食も行なわれた。左が従来の輸入された台湾ライチ、中央が今回輸入された台湾の真っ赤な新鮮生ライチ

本来、ライチを日本に輸出するには、害虫の卵や幼虫などを殺滅するために蒸熱処理を施す必要があり、台湾ではライチの検疫処理として、蒸熱処理をした後6時間以内に低温処理をしていた。この処理過程によって細胞膜がダメージを受け、細胞が壊れる事で水分が失われるほか、褐色化が進む事で皮が黒く変色し、外観の美しさが損なわれていたという。

生ライチを使ったデザートも振る舞われた
生ライチを使用したカクテル

同プロジェクトの成功により、日本で新鮮な生ライチを食べる事ができるようになった事について同日来賓として出席した台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表も、「ハイウィンと中興大学の協力により、日本の皆様においしい生ライチを提供できる事を駐日大使として嬉しく思います。夢が叶いました」と喜びの念を表示した。

来賓の台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表

このほか同発表会には、外貿協會行銷專案処の陳英顕処長をはじめ、本プロジェクトの研究を進めた台湾国立中興大学の林慧玲教授及び謝慶昌副教授、台灣青果合作社曾詠松の曾詠松氏、台中市の張光瑤副市長らも台中から駆けつけたほか、以前よりハイウィンとも親交があるという宮城県を代表し、宮城県東京事務所の伊藤哲也所長も来賓として参加した。なお、ハイウィンからは宮城県に対し、お見舞いの気持ちを込めた100箱(1箱×約1.5kg)の生ライチが寄贈され、伊藤所長が受け取った。生ライチは7月4日に開催される宮城県南三陸町の七夕コンサートで町民に提供される予定。伊藤所長は、「町民もきっと喜ぶはず。寄贈していただいた生ライチを通じて台湾との絆もより一層深まるだろう」と話した。