台北故宮博物院の所蔵作日本初公開 ~顔真卿特別展開幕

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台北の国立故宮博物院が所蔵する中国唐時代の書家、顔真卿氏の「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」が1月15日、東京国立博物館で日本初公開された。一般公開は同16日より開幕している特別展「顔真卿(がんしんけい)-王羲之(おうぎし)を超えた名筆」(東京国立博物館、毎日新聞社など主催)で展示されている。会期は2月24日まで。同展のもう一つの目玉として同院より唐時代の僧、懐素筆による「自叙帖」も部分展示されている。

一般公開に先駆けて行われた15日の開会式では、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表、劉芳如・故宮書画処長、東博の銭谷真美館長らによるテープカットで式典を祝った。なお開催初日には約1200人の来場があるなど盛況だった

台北故宮が所蔵している両作品は、台湾で2012年1月を最後にそれ以降は台湾でも公開されておらず、今回の特別展終了後も少なくとも3年は非公開となる。謝代表は報道陣の取材に対し、日本で展示されるのは貴重な機会だとし「日台の友好関係の証し」と述べた。

主催の毎日新聞社の朝比奈豊会長は、約6年前から作品の展示交渉を行ってきた事を明かし「政治を超えて皆が一緒に古くから伝承されてきた東洋文化を鑑賞し、交流する事が最重要」と話した。

特別展は、書の普遍的な美しさを法則化した唐時代の中国に焦点をあて、「顔法」と称される特異な筆法を作り出し、独自の美意識のもと書を残した官僚で書家の顔真卿(がんしんけい)をメーンに紹介している。書聖とされる王羲之(おうぎし)や楷書の典型を完成させた、虞世南(ぐせいなん)、欧陽詢(おうようじゅん)、褚遂良(ちょすいりょう)ら中国唐時代の初期の三大家の書法を継承しながら、伝統に束縛されず個性的な書風を開花させた顔真卿の人物像、そして書の本質に迫っている。

見所は日本初公開となる顔真卿の「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」。長く続いた安史の乱で犠牲となった、顔真卿の従兄の末子・顔季明を供養した文章の草稿にあたる書だ。最初の部分は平静に書かれているが、感情が昂ぶるにつれ筆は縦横に走り、思いの揺れを示すかのように生々しく修正した跡が散見される。悲痛と義憤に満ちた情感あふれる作品でもある。また、同品に加え、空海筆の国宝「金剛般若経開題残巻(こんごうはんにゃきょうかいだいざんかん)」など、他の書家の作品や後世の書なども紹介して書風の変遷にも迫る。さらに、日本に与えた影響にも目を向け、唐時代の書の果たした役割を検証している。