台湾エバー航空(長栄航空)は7月6日、労働条件の改善などの要求ため、6月20日より客室乗務員らが実施していたストライキが同10日午前0時に終結すると発表した。客室乗務員が加盟する桃園市客室乗務員職業組合の17日間に及ぶストライキは2300人が参加。複数の日本路線を含め計1440便が欠航。30万人近くに影響が広がり、ストによる会社側の損害は売上高で27.8億台湾ドル(日本円=約97億円)に達し、台湾航空史上最大のストだった。
同社は、多くの人々が不便を強いられたとして「深くお詫びする」と報道文で謝罪した。また、旅行客からスト終結を喜ぶ声が聞かれる一方で、十分に対応ができるよう事前のスト通告を義務化する法改正を望む声も上がっていた。このため組合側は、スト参加者が決心を示すために提出したパスポートなどの返還作業を実施し、約200人が受け取った。「ようやく安心して眠れる」と話す組合員もいた。 なお、10日にストが終結した後も勤務の調整作業などが残り、運航が完全に正常化するには7月20日までかかる見通し。
ストの主要因は、労組側の「日当の増額など待遇の引き上げ」を求めたため。しかし、台湾世論の多くは、同社の客室乗務員の待遇が「地上職や他の業界などに比べ恵まれている」とみており、社会への共感は広がらなかった。途中であきらめて職場復帰する組合員が後を絶たず、会社側との交渉でも妥協を迫られた。
エバー航空がストの賠償請求訴訟を取り下げない方針
台湾エバー航空は7月8日、ストライキを起こした客室乗務員の職業別労働組合「桃園市空服員職業工会」の幹部を相手取って起こしている損害賠償請求訴訟を取り下げない方針と発表した。賠償額は明らかにしていないが、スト1日につき約3400万台湾元(日本円=約1億2000万円)を求めるとみられ、少なくとも5億7800万台湾元(日本円=約20億1100万円)に達する見込み。なお、労組は7月8日、ストの合法性を改めて強調する声明を発表した。
ストは労組が待遇改善などを求めて6月20日よりストを決行。会社側は翌21日、ストは違法だとして台北地裁に訴状を提出した。その後の7月10日午前0時にストは終了している。