現在、日本では空前の「タピオカ入りドリンクブーム」が巻き起こっている。これを受け、台湾のタピオカ製造業者らは日本向けに生産に本格化する動きが出ている。日本向けの輸出は今年に入って急増しており、台湾の業者は高値で売れる日本市場に商機を見出している。
台湾行政院農業委員会の統計によると、台湾の今年1~6月のタピオカ(でんぷんから製造したフレーク状、粒状、真珠形、ふるいかす状その他これらに類する形状のタピオカ粉およびその代用品)の日本向け輸出量は4552トンに上り、前年同期(587トン)の約7.8倍となった。月別にみると、昨年5月に100トンを超えて以降、ほぼ右肩上がりに上昇し、今年5月には1000トン台に乗った。今年7月の日本向け輸出量は米国を上回り、国・地域別で最も多い2028トンに達した。
台湾のタピオカ製造業者によれば、今年4月以降、海外からの注文が激増しており、中でも日本からの需要が最も大きいという。以前は月1、2日を日本向けの生産に充てていたものの、需要の増大によって現在では週4、5日分の生産能力を日本向けに割り当てている。その反動で国内向けの生産は週1日にまで減ったという。多くの業者が台湾国内の受注をストップさせ、日本向けの供給に全力を注いでいるという情報もある。
日本向けの生産を重視させる背景には、「価格の高さ」であると業者らは指摘する。統計では、今年1~6月の日本向け輸出額は1トン当たり3095米ドル(約33万円)で、全体平均の1845ドル(約19万4000円)より7割ほど高い。日本現地での製造より人気があるのは台湾産だという。
なお、業界関係者によると、台湾メーカーのタピオカ生産能力は年間9万トン。関係者は、台湾にはタピオカミルクティーの成熟したサプライチェーンが整っている上、経済規模も大きいため、他の国が真似をすることは難しく、短期的には取って代わられることはないだろうとの見方を示している。