柯台北市長が新党結成~総統選出馬表明は9月か

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台湾台北市の現職の市長柯文哲氏が7月31日、新党「台湾民衆党」の結成を準備している事が関係者より明らかになった。新党の設立大会は8月6日に開くとみられ、台北市庁舎で8月1日、「国会進出は確かにわれわれの一つの目標」と新党結成について説明した。さらに、新党結成と総統選出馬の関連性について、「私個人が総統選に出馬するかしないかは重要ではない」としながら、「どうすれば台湾は良くなるか、台湾の人々がよりよい福祉を得られるのか、これこそがわれわれが考えなければならない」と、国会進出が優先であるとした。なお、世論は柯氏が2020年1月の総統選へ「出馬するのではないか」と見ており、その是非を問われると「総統選の出馬に必要な署名集め実施の登録締切日は9月17日。それまでに届出しなければ不出馬ということ」と説明し、「9月上旬が最終決定の時期になるだろう」と述べ、正式表明は控えた。

柯氏を巡っては、国民党内の予備選で韓氏に敗れた郭台銘(鴻海精密工業前会長)とタッグを組むのではないかとの見方も出ている。「郭氏とはまだ会っていない」(柯氏)と明かしたが、郭氏の経営能力は高く評価しており、さらに、資産家である事に対して「政権運営が国外の利益に影響するかの懸念を説明する必要がある」としている。

結党大会の様子(写真提供:自由時報)

柯文哲市長が新党の結党大会を開催~郭氏は欠席

台湾台北市の柯文哲市長が8月6日、新政党「台湾民衆党」の結党大会を台北市内で開き、2020年1月の立法委員選挙に「候補者を擁立する」と明らかにした。なお、総統選に出馬するかは明言を避けた。

「政治文化を変える責任を果たす」と、党主席に就任した柯氏は力説。与党民進党と最大野党の国民党の二大政党による現在の権力争いが「外交や経済での苦境をもたらしている」と指摘して「政党ではなく、台湾の利益を追求する」と訴えた。柯氏は外科医師であり、政治については素人とする姿勢が無党派層や若者の人気を集めた。加えて、台湾政治の第三極の形成を目指しており、9月上旬をメドに総統選に出馬するか明らかにするとしている。しかし、世論は「新党結成は出馬に向けた動き」との見方が多勢を極め、さらに、鴻海精密工業の郭台銘前董事長と連携するのではないか、とその動向を注視している。

なお、鴻海の郭氏が結党大会に出席するかが注目されていたが、祝花贈呈のみで欠席した。郭氏は先の国民党の総統選候補者を選ぶ予備選で敗北。国民党を離党して無所属から出馬するとの見方も出ている。柯氏は勢力拡大へ郭氏との連携を模索しているとされるが、先行きは不透明。柯氏と郭氏ともに総統選に出馬する意欲があり、連携すればどちらかが支援に回らざるを得ないため、交渉が難航しているとの見方も出ている。総統選は再選を目指す民進党の蔡英文総統と、国民党の韓国瑜高雄市長の一騎打ちと見られていたが、柯氏と郭氏の動向次第で三つ巴に変動する可能性がある。 一方、この日柯氏は対中政策についての言及はなかった。しかし「両岸一家親」(中国と台湾は1つの家族)などの一連の発言から中国に近いとみられている。