台湾プロ野球チームの「ラミゴモンキーズ」球団(劉玠廷球団社長)は9月19日、日本の楽天に球団の全株式を譲渡して売却した。ラミゴの運営母体である親会社のラニュー社が台北市内で開いた記者会見で発表した。これにより楽天は、2020年シーズンより台湾のプロ野球リーグ、中華職業棒球大連盟(CPBL)に参入する。
ラミゴはこれまで、半期優勝13回、年間優勝6回、2019年6月には台湾リーグ史上初の5半期連続優勝などの実績がある。しかし、同7月初旬に球団売却の意向をほのめかすなど、注目を集めていた。劉球団社長は会見で「球団売却の意向ですぐに楽天と接触した」と明かした。
楽天は日本で「東北楽天ゴールデンイーグルス」球団を運営し、このほか主力のIT事業の大手企業。すでにスポーツ業界に進出している上、知名度向上を図りたい考えもあり、台湾プロ球団の経営に乗りだしたとみられる。「ラミゴの理念にも共感していただいた」(劉球団社長)と説明し、さらに、「交渉はスムーズだった。楽天にはCPBLを全く新しいレベルに引き上げてくれる能力がある」と台湾プロ野球の今後にも期待感を示した。
楽天は、2008年より台湾に本格進出しており、2019年3月には台湾のネット通販大手、PChomeオンラインと提携。同7月には台湾での銀行業認可を取得している。楽天側は「これを機に台湾に根ざした事業を展開していきたい」と話した。
ラミゴの本拠地はこれまでの台湾桃園市に残され、スタッフの雇用も継続される見通し。日本の球団運営のノウハウを生かし、「台湾プロ野球のさらなる発展に貢献していきたい」(楽天)との姿勢だ。
楽天は今後、CPBL(呉志揚会長)の常務理事会で承認を経て正式に決定される。新チーム名やユニホーム、ロゴなどは未定。