WHOは台湾を復帰させ、世界の医療体制の空白地帯を防げ!

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新型コロナウイルスの感染拡大による生活、医療、経済システムなどの世界的な危機が叫ばれる中、3月26日に福岡在住の台湾人医師らが台北駐福岡弁事処(=台湾総領事館)に集まり、WHO(世界保健機関)に対し、対策を台湾に学ぶとともに早期かつ完全に台湾を同機構に復帰させることを求める要望書を取りまとめ、テドロス事務局長に発送した。

世界のウイルス対策を概括し、要望書を作成したのは、九州在住の台湾出身医療関係者が多く在籍する「西日本台湾学友会」の吉沢浩毅会長、庄野庸雄次期会長と「中華民国僑務委員会(華僑業務を統括する台湾政府の海外組織)」の海澤洲委員並びに陳忠正福岡総領事の4人。

これまで「台湾は中国の一部」とする中国の圧力でWHOは台湾の総会・専門家会議への参加を拒否してきた。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行の際には台湾で73人が死亡したが、この原因の一つがWHOから医学情報や検体の提供を得ることができなかったためとされている。

この時の轍を踏まないように今回台湾では、陳時中衛生部長(=厚生労働大臣)が陣頭に立っていち早くクルーズ船の寄港と中国人の入国を禁止するなどの封鎖措置をとる傍ら、国民に手のアルコール消毒や体温検査などを指導した結果、3月25日時点における感染者数は235人、死者は5人にとどまり、その防疫体制は世界から称賛されている。そのため

WHOも台湾を専門家会議にオンライン参加させざるをえなくなった。

しかしながら、台湾の感染症予防及び対処策を正確に伝えるとともに、将来に向かっての世界防疫連鎖の空白を作らないために台湾のWHOへの完全復帰が欠かせないというのが、今回の要望の骨子である。

要望書を取りまとめるにあたっては、「台湾が20年前に日本と北欧を参考して全民皆保険制度を作ったことが今回大いに役立ったこと」。「台湾のWHO復帰を支持する九州・山口の6,000名近くの署名が昨年5月に福岡を来訪した陳大臣に手渡され、ジュネーブにあるWHOの本部に届けられたこと」。「世界の公衆衛生および防疫メカニズムに抜け穴があってはならないこと」などについての総括と将来への決意が話し合われた。

WHO復帰を願う6,000人署名簿が陳時中部長(右)に手渡された。(2019年5月)

台湾のWHO総会や専門家会合への参加は、アメリカ、日本をはじめ、北欧やラテンアメリカ諸国など多くの国が支持している。WHO内部でも中国から巨額投資を受けているエチオピアの保健相だったテドロス事務局長の中国擁護姿勢とそれに疑問を持つ委員との間の温度差が目立っており、人種、宗教、政治信条などの差別なしに「すべての人々が最高水準の健康に恵まれる権利」を定めるWHO憲章実現のために、台湾の復帰を実現させようとする環境が芽生えつつあるようだ。