李登輝元総統が死去~台湾の民主化に尽力

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 台湾の李登輝元総統が7月30日午後7時過ぎ(日本時間午後8時過ぎ)、入院先の台湾台北市内の病院で亡くなりました。97歳でした。

台湾で初めての直接投票による総統選挙を実現させるなど民主化に尽力し、親日家として知られる李登輝元総統は1923年、日本の統治下にあった台湾で生まれました。今の京都大学農学部に入学し、太平洋戦争中は旧日本陸軍に入隊して、日本で終戦を迎えました。その後、台湾に戻り研究者として活動した後に政治家に転身。当時(1988年)の蒋経国総統の死去に伴い、台湾出身者として初めて総統に就任しました。
 在任中は議会制度の改革など民主化を推し進めたほか、台湾の国際社会での存在感を高めようと積極的な外交を展開し、非公式ながらも米国に初訪問しました。
 そして1996年、台湾民の直接投票による初の総統選挙を実現させ、当選しました。しかし、李元総統の一連の動向に中国側は「台湾独立の動き」として強く非難。台湾近海でのミサイル演習など武力による威嚇を繰り返すなどの挑発行為をしたため、米国は空母を派遣し、台湾海峡の緊張は一気に高まりました。
 李元総統は親日家として知られ、2000年の総統退任後は、病気の治療や文化交流を目的に日本をたびたび訪問し、各地で講演などを行っていました。しかしここ数年は、主に台北の自宅で政界関係者と面会するなどしていましたが、2020年2月、体調を崩したため自宅から病院に搬送され、その後入院で療養を続けてきました。

入院先の病院によると、日本時間の30日午後8時20分すぎ、亡くなったということです。