中国が台湾産パインの輸入禁止措置~3月より実施

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台湾産パイン(写真提供:中央社)

台湾から中国に輸出されているパイナップルについて、中国の税関当局は害虫が検出されたとして、3月1日より輸入を停止した。

台湾パイナップルの名産地として知られる台湾南部地域は、台湾政権「民進党」の支持者が多い。台湾の農政を担う農業委員会は禁止施行前の2月26日に記者会見を開き、「政治的な動機を疑わざるを得ない」と中国を非難。2月25日に中国の税関当局より「台湾産のパイナップルから何度も害虫が検出されたため3月1日から輸入を停止する」という通知があったと説明。しかし、農業委員会は昨年10月に対策を強化して以降「害虫は一度も検出されていない」と強調しており、中国側の措置に遺憾の意を示した。

台湾から2020年(通期)に輸出されたパイナップルは約4万5000トン。このうち97%を中国向けが占めており、今回の中国当局の決定は、これから本格的な収穫期を迎える台湾南部の産地に打撃を与える可能性がある。台湾の南部地域は蔡英文総統の与党民進党の支持者が多い。蔡総統はフェイスブックで「中国の不意打ちのような通知は正常な貿易を考慮していない」とし、民進党も「背後に政治的な動機があると疑わざるを得ない」と非難している。

台湾産パイン東京五輪ホストタウンの給食に

これを受け、台北駐日経済文化代表処謝長廷駐日代表は2月27日、自身のフェイスブックを更新し「東京五輪・パラリンピックで台湾のホストタウンとして登録している自治体の給食で出してもらうことを検討したい」との考えを示した。また、冷凍してからパイナップルジュース、アイス、缶詰、パイナップル干物、パイナップルケーキなどの加工品を作り「新たな市場開拓を目指す」とし、これにより中国の依存度を低減させる考え。 

輸入禁止措置に対抗~台湾パインの販路開拓

また、台湾内でも輸入禁止に対抗する取り組みを実施。賴清徳副総統は「台南農会で加工業者とドリンク業界は農民に協力できた事を喜んでいる」とし、台湾産パイナップルの新たな販路開拓を「パイナップルチーム」として国際的な視野で進める方針を固めた。

さらに日本でも応援のメッセージが相次いでいる。台湾産パイナップルの購買意欲促進に向け、日本で有名な高須クリニック(高須克彌院長=医師)は、自身のツイッターに「これからパイナップルは台湾産だけを食べます。 他のパイナップルは食べません」と発信し、同様に千葉県白井市の和田健一郎議員も「今日の晩御飯はパイナップルカレー」とPRした。